山口・上関町長「議会の議論を見て判断」 中国電・中間貯蔵施設巡り

2025/08/29 22:13 

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 中国電力などが山口県上関町で建設を計画する使用済み核燃料の中間貯蔵施設を巡り、中国電は29日、地質調査などの結果、町内の建設候補地で施設の「立地は可能」とする調査結果を町に報告した。今後、施設の規模など具体的な事業計画をまとめる方針。町は、町議会などでの議論を踏まえ、建設の受け入れの可否について判断する。

 中国電は、施設建設が可能かどうかを判断するため、2023年8月以降、文献調査やボーリング調査を実施。その結果、中国電が所有する上関町長島の建設候補地の真下で活断層は確認されず、硬い岩盤が存在すると評価した。火山や津波などの個別のリスクも踏まえたうえで、「立地の支障となる技術的に対応できない問題はない」と結論づけた。

 施設は、使用済み核燃料を金属製の容器(キャスク)に入れて空気の対流で冷やす「乾式貯蔵」を検討。今後、施設の具体的な規模などを盛り込んだ事業計画をまとめて町に示す方針だが、作成時期は明らかにしなかった。

 中国電の大瀬戸聡常務執行役員は上関町役場で西哲夫町長と面会し、「調査結果を町民の皆さまにわかりやすくお知らせし、より一層ご理解いただけるよう取り組んでまいりたい」と語った。

 面会後、記者団の取材に応じた西氏は「町議会や住民、近隣首長から要請があればしっかり対応してほしい」と要望したと説明。受け入れ可否の判断時期について、これまで1年程度かけて議論する考えを示してきたが、「調査結果が出たので、しっかり説明を聞いて議会の議論の状況を見て次の段階にいけるか判断したい。1年というのは目安で、議論の進捗(しんちょく)状況で変わってくると思う」と述べた。

 施設建設で知事の同意は法的には必要ないが、事実上は不可欠だ。計画には近隣自治体から慎重意見が出ており、山口県の村岡嗣政知事は「これから具体的な計画が出てくる。そのなかで、各市町の受け止めを把握していきたい」と説明。そのうえで「町が受け入れを決めることがあれば、次に県に意向を確認する手順になっている。そうした段階で判断することになる」と述べた。

 上関町では、1982年に中国電による上関原発建設計画が浮上し、推進派と反対派による対立が続いていた。建設に向けた一部工事は始まっていたが、11年の東京電力福島第1原発事故で、計画が事実上凍結された経緯がある。

 国の原発関連交付金は減少し、町が新たな地域振興策を中国電に要請。中国電は23年8月、原発建設予定地近くの同社所有地での中間貯蔵施設建設計画を明らかにし、町の同意を得て調査を進めていた。【脇山隆俊、小澤優奈、藤田宰司】

 ◇中間貯蔵施設

 青森県六ケ所村で建設中の再処理工場へ搬出するまで、使用済み核燃料を一時的に保管する施設。全国の原発で使用済み核燃料は敷地内のプールなどで保管されているが、保管容量の約8割が埋まっている。山口県上関町で建設されれば、原発敷地外での使用済み核燃料保管施設は、青森県むつ市に次いで国内2カ所目となる見通し。一方、再処理後に出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の選定も進んでいない。

毎日新聞

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