新幹線、トンネルで停車も 海沿い眠れぬ夜再び 青森で震度5強
また眠れない夜が続く――。三陸沖で20日に発生したマグニチュード(M)7・7の地震。最大震度5強を観測した青森県をはじめ北海道、岩手県の太平洋側に津波警報が発表され次々と津波到着の一報が伝えられるなか、東日本大震災の記憶が残る海辺の住民らは高台に避難するなどしながら不安そうに事態を見守った。気象庁は夜に、2025年12月以来の北海道・三陸沖後発地震注意情報を発表。今後1週間程度、巨大地震への注意や備えを促す。
◇海沿いによぎる震災の記憶
「15年前の東日本大震災ほどではなかったが、強い揺れだった。津波警報が解除されるまでしばらくここから動けないだろう。自宅が海のすぐそばなので心配だ」
岩手県釜石市の高台にある薬師公園に避難してきた同県山田町の男性(35)は顔を曇らせた。高台には地震発生直後から近くにある大型商業施設などから避難する人が参集。防災無線から津波警報の発表を知らせるサイレンが鳴り響くなか、スマートフォンで連絡を取ったり地震や津波の状況を確認したりしていた。
前岩手県大槌(おおつち)町長で行政書士の碇川豊さん(75)は高台にある町内の自宅で仕事中、大きな揺れに襲われた。棚の茶わんやコップが落ちるほどの激しさで、外に出て遠くから海を眺めると、海岸の防潮堤に波がぶつかり波紋が広がっているように見えたという。「防潮堤を越えるほどの波ではなかったが、やはり東日本大震災を思い出した」と話した。
80センチの津波を観測した岩手県久慈市の50歳代の男性会社員は、「久慈港は会社から50メートルぐらい離れたところにあるが、海水が少し引いているようだった。第1波は低かったようだが、第2波、第3波が心配だ。普段よりも道が混んでおり、車で避難しているのだなと思った」と振り返る。
震度4を観測した北海道函館市の函館駅前は防災無線が鳴り響き、「海岸には近づかないでください」などとアナウンスされた。駅構内にいた兵庫県のイラストレーターの男性(50)は「列車の写真を撮るため、陸橋の上にいた。橋の上だったので、すごく揺れて怖かった」と不安そうな様子。市内にある「函館山ロープウェイ」は一時運転を見合わせ、施設内は多くの観光客でごった返した。再開を待つ列に並んでいた名古屋市の会社員、吉田晃一さん(55)は「地震自体は気付かなかったが、防災無線が怖かった」と語った。
◇新幹線、一時停電も
地震の影響で東北新幹線は一時的な停電が発生。20分ほどで送電は再開されたが、その後も東京―新青森間は運転を一時見合わせた。新青森から東京へ向かう新幹線に乗っていた毎日新聞社員(51)によると、岩手県二戸市の二戸駅を出てすぐのトンネル内で車内の照明が落ちて緊急の照明に切り替わった。数秒後に乗客の携帯電話から緊急地震速報が鳴り始め、そのままトンネルの中で停車した。
その後、車掌が「けがされた方はいますか」と車内を回っていたが、特段混乱はなかったという。停電が解消されて列車は最寄り駅まで移動しそこで待機。「停電で空調が止まり蒸し暑くなったので少し気分が悪くなったが、すぐに電車が動き始めてよかった」と振り返った。
◇避難者、続々
各地で避難指示も出た。
震度5弱を観測した青森県おいらせ町は津波警報の発表直後、東日本大震災で浸水した範囲と同じ地域を対象に避難指示を出した。避難所6カ所を開設し、直後から数十人の住民が避難した場所もあった。担当者は「横揺れが長く続いた。物が机から落ちるほどではなかった」と振り返った。
釜石市の市立釜石小体育館には、午後6時時点で周辺住民ら約200人が避難。近くに住む女性(70)は地震の後、貴重品をリュックサックに入れて高台の公園に上がった後、市職員の指示で移動した。東日本大震災当時は5カ月ほど避難生活を送ったといい、「先週末も長野で大きな地震があり、不安に思っていた。避難が長時間にならないでほしい」と声を落とした。【奥田伸一、佐藤岳幸、遠藤大志、高山純二】
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