「暴悪大笑面」 十一面観音のお顔、精巧に再現 奈良・長谷寺

2026/05/06 16:18 

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 真言宗豊山派総本山・長谷寺(奈良県桜井市初瀬)の本尊「十一面観音菩薩(ぼさつ)立像」(重要文化財)の頭上に配置された11の顔(面)のうち、後頭部にある「暴悪大笑面(ぼうあくだいしょうめん)」の複製像が完成した。普段は見ることができない笑いと怒りが入り交じった複雑な表情が精巧に再現されている。

 県立大副学長の山田修教授(文化財保存活用)が寺からの依頼を受けて作った。ヒノキ製で高さ約70センチ、幅約40センチ。顔や首に金箔(きんぱく)を貼り、髪を群青、口内を朱の顔料で彩色した。

 本尊は室町時代の作で、高さ10メートルを超す国内最大級の木造観音像。頭上には穏やかな顔や怒りに満ちた顔などさまざまな表情の面が配置されている。暴悪大笑面は善悪両面を持つ人間を救済する時の菩薩の表情とされる。

 山田教授によると、本尊の後頭部と光背との隙間(すきま)はわずか10~20センチ。暴悪大笑面を正面から見ることは事実上不可能な中、山田教授は昨春、小型カメラで正面からの撮影に成功した。この時に得た3Dデータを基に、約8カ月かけて完成させたという。

 4月30日に本堂でお披露目記者会見があり、山田教授は「見下ろしている目線を少し上向きにするなど、オリジナルから多少変更した」と説明。川俣海淳(かいじゅん)化主(けしゅ)は「正面から拝んだ人は(本尊を造った)仏師さんだけでしょう。貴重なお顔にお会いできて感激している」と語った。

 寺は今後、各地の出開帳などで公開していく。【望月靖祥】

毎日新聞

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