原告「ただ乗り許せば、音楽文化衰退する」 楽譜模倣に賠償命令

2026/10/09 21:10 

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 著作物ではないバンドの楽曲を耳でコピーして作った楽譜(バンドスコア)の模倣行為に賠償責任が生じるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(三浦守裁判長)は9日、「賠償責任が生じる」との初判断を示した。賠償の対象にならないと主張したウェブサイト運営会社の上告を棄却し、約1億7000万円の賠償を命じた2審判決が確定した。

 ◇「訴訟を諦めていた人の指針に」

 「作り手の権利を認めてくれた。ただ乗りが許されてしまえば楽譜を作る人がいなくなり、音楽文化が衰退してしまうところだった」。原告の楽譜出版社「フェアリー」の久保貴靖社長(62)は、最高裁が悪質な「ただ乗り」に警鐘を鳴らしたと訴訟の意義を語った。

 バンドの演奏はさまざまな楽器の音が混ざり合う。耳で聴き正確に楽譜に落とす「採譜」は、1曲あたり2~3週間を費やし熟練の技能が必要だ。判決が模倣を「営業上の利益の侵害」と認定したことに久保社長は「苦労が報われた。著作物ではないことを理由に訴訟を諦めていた人にとっても指針になる」と喜んだ。

 著作権法で直接保護されないものとして料理のレシピや将棋の棋譜でも、ただ乗りが問題となっている。

 レシピ投稿サイト「クックパッド」が、SNSやサイトの料理動画をアプリに保存すれば自動でレシピが作成される新サービスを発表したところ、元の動画の再生が減ることが懸念され、料理研究家らから批判が相次いだ。

 ユーチューバーが対局中の将棋の棋譜を無断配信したことに対し、「竜王戦」を主催する読売新聞東京本社と日本将棋連盟が損害賠償を請求。東京高裁は3月、バンドスコア同様に「特段の事情」を認めてユーチューバー側に賠償を命じた。

 今回の判決で裁判官出身の尾島明裁判官は「公正な競争秩序と模倣の自由のバランスを考慮して不法行為の該当性を検討する必要がある」との補足意見を述べた。どういったただ乗りに賠償責任が生じるかはケース・バイ・ケースとなるが、バンドスコア訴訟の判決は賠償責任を判断する際の基準として他の商品、サービスの紛争でも参考にされることになる。【安元久美子】

毎日新聞

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