新大関・大の里 辛勝のち圧勝も「まだ2日目」 少ない口数の意味

2024/11/11 20:05 

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 ◇大相撲九州場所2日目(11日・福岡国際センター)

 ◇○大の里(押し倒し)王鵬●

 自ら肝を冷やしたと振り返った大関初陣から、1日。大の里が持ち前の馬力を生かし、俊英を圧倒した。逆転の突き落としで初日をものにした後、師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)が口にしたのは「白星(発進)が一番いい」。そこから内容を良くして、札止めの観客を満足させた。

 秋場所で琴桜、豊昇龍の2大関を連破した王鵬との対戦。大の里は右差しの狙いを果たせなかったが、左で王鵬の右をはね上げ深く差し込んだ。劣勢になった王鵬の苦し紛れの肩すかしにも動じずに寄って出ると、最後は押し倒した。

 これまでの本場所と同様、支度部屋では「しっかり集中」「まだ2日目なので」と口数少なく、勝因を誇ることもない。素っ気なくも映る言動の理由について、大の里は大関昇進後、学生時代の経験を引き合いに語ったことがある。

 「日体大では(相撲部監督の)斎藤一雄先生に『自分一人で強くなっているわけではない』『おかげさま、という気持ちを持ちなさい』と口を酸っぱくして教えられていたんです。『強くなると、敵が多くなる』とも言われ、謙虚でいようと思いました」

 勝っても、おごらない。そう言い聞かせることで、注目を浴びても自分を見失わずにいられる。

 3大関がそろって2日目も白星を並べ、一年納めの場所は上々の出だしを見せた。3日目は、大の里にとって大関になって初の結びの一番に臨む。昨日よりも、今日。今日よりも、明日。勝利の質を上げることも看板力士の使命だ。【岩壁峻】

毎日新聞

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