サッカースペシャルサポーターに北沢豪さん 東京デフリンピック

2025/06/27 17:19 

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 聴覚障害者の国際スポーツ大会、東京デフリンピックのサッカー競技が11月14~25日にJヴィレッジ(福島県楢葉町、広野町)で開催される。開幕まで140日となった27日、福島県はスペシャルサポーターに元日本代表で日本障がい者サッカー連盟会長の北沢豪さん(56)を任命した。北沢さんは「障害の有無に関係なく誰もが一緒にスポーツを楽しめる社会が実現するきっかけになれば」と強調した。

 北沢さんは、開幕150日前となる17日に県庁を訪れる予定だったが、東北新幹線のトラブルの影響で27日に延期となっていた。

 改めて県庁を訪れた北沢さんは、内堀雅雄知事に「(聴覚以外の)コミュニケーション能力を獲得できれば、言葉がなくてもサッカーはできる。世の中も同じで(障害者にとって支障がないよう)ルールを変えれば、聞こえにくくなったお年寄りなど誰もが生活しやすくなることを、特に子どもたち若い世代に知ってほしい」と呼び掛けた。

 内堀知事は、Jヴィレッジが東京電力福島第1原発事故後に前線基地となり、スタジアムには作業員の寮が建って、天然芝のピッチは砂利で覆われた駐車場や資材置き場に変わり果てた経緯を説明。「Jヴィレッジの再生は希望の物語。デフリンピックの福島開催を、困難を乗り越える力の象徴として国内外に発信したい」と北沢さんに協力を要請した。

 その後、報道陣の取材に応じた北沢さんは、デフリンピック日本代表について「レベルは健常者と変わらない。一緒に練習しても『えっ、そこにパスを出すのか』と驚かされる。みんな日ごろから(健常者と)一緒に練習しており、サッカーがインクルーシブ(包摂的)なスポーツであることを表現している」と指摘。「やっぱり(日本代表の)ユニホームの力は大きい。ぜひ(障害のある)子どもたちに見てもらって『日本代表になりたい』と思ってもらえれば」と期待を込めた。

 北沢さんは1993年に開幕したJリーグ草創期にヴェルディ川崎(現J1東京ヴェルディ)の主力としてJリーグブームの立役者の一人に。現役引退後は日本サッカー協会の理事や参与となり、国連UNHCR協会での難民支援など社会貢献活動にも取り組む。

 元日本サッカー協会技術委員長でJ3福島ユナイテッドの関塚隆テクニカルディレクター(64)とは、Jリーグ開幕前の本田技研(現JFLホンダFC)での先輩と後輩の間柄で「デフサッカーのPRに、協力をお願いしに行きます」と笑顔だった。【錦織祐一】

毎日新聞

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