4年半ぶり利下げのFRB、年内追加利下げも示唆
米連邦準備制度理事会(FRB)は18日開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を0・5%引き下げ、4・75~5%とすることを決めた。約4年半ぶりの利下げとなる。FRBは歴史的なインフレ(物価上昇)を抑制するため2022年3月に利上げを始め、高金利を維持してきた。金融政策を2年半ぶりに「引き締め」から「緩和」に切り替えた形だ。年内残る2会合での追加利下げも示唆した。
雇用悪化を未然に防ぐため、利下げ幅は従来の2倍の大きさとした。FRBのパウエル議長は記者会見で「『失業率の上昇なしに物価を安定させる』という我々の強い決意の表れだ」と大幅利下げの理由を説明。「インフレの上振れリスクが減る一方、雇用の下振れリスクが増している」とも述べ、金融緩和に軸足を移すことで景気を下支えする考えを示した。
FRBは同日、年末の政策金利が4・4%になるとの経済見通しを示した。9月会合での利下げを踏まえると、11、12月の2会合で計0・5%の利下げをする計算になる。25年末の政策金利は3・4%とした。
FRBはインフレ抑制のため、22年3月から23年7月にかけて計11回の利上げを実施。政策金利を01年以来の高水準に引き上げ、1年以上、据え置いてきた。
米国の8月の消費者物価指数は前年同月比2・5%上昇と5カ月連続で前月を下回り、FRBが目指す2%に近付いている。パウエル氏も「過去1年間の忍耐強いアプローチが実を結んだ」とし、インフレの抑制に自信を深めている。
一方で、8月の失業率は4・2%。まだ低水準ではあるものの、2年4カ月ぶりの水準に悪化した今年5月以降、4カ月連続で4%台をつけるなど先行きに不安も出ていた。
FRBが利下げするのは、新型コロナウイルス禍を受けた臨時会合で政策金利をゼロにまで引き下げた20年3月以来となる。【ワシントン大久保渉】
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