三井住友FG社長「金利競争する気ない」 過度な競争を疑問視
三井住友フィナンシャルグループ(FG)の中島達社長は毎日新聞のインタビューに応じ、住宅ローンについて「金利競争をする気はない」と述べ、貸し出しを増やすために金利を過度に抑え込む戦略は取らない考えを明らかにした。
日銀が3月にマイナス金利を解除し、7月に追加利上げを決め、大手行は10月に住宅ローンの変動型の基準金利を17年ぶりに引き上げた。しかし、借り手の信用力に応じた金利の優遇幅では、各行の戦略に差が出ている。
看板の最優遇金利(新規)は、三菱UFJ銀行が0・345%、みずほ銀行が0・375%と10月以降も据え置いたが、三井住友FG傘下の三井住友銀行は基準金利に連動して0・15%引き上げ、0・625%に設定。中島氏は「残念ながら一部銀行のレートは採算を度外視しているとしか思えない」と、過度な金利競争に疑問を呈した。
個人のビジネスで注力するのは、銀行や証券取引、クレジットカード決済などをスマートフォンで一括管理できる「オリーブ」と呼ばれるサービスだ。2023年3月に開始し、11月末には350万件を突破。オリーブの導入後は、普通預金口座の新規開設が1・5倍のペースで増えている。
4月にカルチュア・コンビニエンス・クラブが展開するTポイントを三井住友のVポイントに統合。オリーブを通じたカード決済では積極的にポイント還元している。「得だと思ってもらいながら、(利益を生む)ビジネスとしても成立するようになってきた」と手応えを語る。
25年3月期の最終(当期)利益は1兆1600億円を見込み、初の1兆円超えが当初の計画から4年前倒しで射程に入ってきた。政策保有株の売却益によってかさ上げされる面もあり、中島氏は「これからは実力をしっかり伸ばしたい」と気を引き締める。
バブル崩壊以降、銀行は企業に対して慎重な融資姿勢を続けてきた。経済の復調で企業活動は活発化しており、半導体など大型の案件も目立つ。「日本の成長のために銀行がもっとリスクを取るべきだ」として、企業に積極的に貸し出す意向も示した。【井口彩】
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