2月の消費者物価伸び率、3年11カ月ぶりに2%下回る

2026/03/24 17:11 

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 総務省が24日発表した2月の消費者物価指数は、変動が大きい生鮮食品を除く「総合指数」で、前年同月比1・6%上昇だった。伸び率は前月から0・4ポイント低下し、3年11カ月ぶりに節目の2%を下回った。ただ、巨額の補助金を投じた政府の物価高対策が要因で、インフレ(物価上昇)圧力自体が収まったわけではない。米国とイスラエルのイラン攻撃に伴う原油高騰の影響もまだ反映しておらず、伸び率は再び2%超になりそうだ。

 エネルギーが前年同月比9・1%下落で、伸び率の鈍化を主導した。内訳を見ると、2025年末に暫定税率を廃止したガソリンが14・9%下落。25年度補正予算で補助金支給が決まった電気と都市ガスが、それぞれ8・0%下落、8・2%下落だった。

 ただ、暫定税率撤廃による減収額は、4月に始まる見込みの軽油の暫定税率撤廃を含め年1・5兆円。電気・ガス代補助も1~3月だけで5000億円超が必要だ。巨額の公金を投じて強引に物価高を抑え込んでいる形で、円安や人手不足に伴うコスト増を商品価格に転嫁する動きがなくなったわけではない。

 実際、生鮮食品を除く食料は前年同月比5・7%上昇。7カ月連続で伸び率は鈍化したが、2%を大きく上回る状態で高止まりしているのが実情だ。内訳を見ると、コメ類が17・1%上昇▽菓子類が8・1%上昇▽飲料が9・1%上昇――で、家計に手痛い品目で物価高が続いている。

 追い打ちをかけるのが、イラン情勢の緊迫化に伴う原油価格の高騰だ。

 エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の事実上の封鎖で原油価格の指標となる米国産標準油種(WTI)は、3月上旬に1バレル=120ドル近くに高騰。軍事衝突が始まる前の水準(60ドル台後半)に比べ大幅に値上がりしており、日本国内でもガソリン価格の高騰を引き起こしている。

 経済産業省が発表した3月16日時点のレギュラーガソリンの小売価格(全国平均)は1リットル=190円超で過去最高値を更新。政府はここでも1リットル=170円に収まるよう補助金の支給を始めたが、予算を無尽蔵に確保できるわけではなく、原油高騰が長期化した場合の対応は不透明だ。

 原油高騰は輸送・製造コストの上昇を通じて幅広い製品の価格を押し上げる。22年2月のロシアのウクライナ侵攻も原油高騰による物価高を招き、日本で2%超のインフレ率が常態化する「発火点」となった。

 明治安田総合研究所の森田幸大主任エコノミストは「食品、コンクリート、容器など幅広い品目でコストが上昇し、企業が年度初めの4月に一斉に価格転嫁してもおかしくない。原油価格が1バレル=100ドル程度で高止まりした場合、4月にもインフレ率が2%超に戻る可能性がある」と指摘する。

 「物価の番人」である日銀は、インフレ率が2%前後で安定的に推移する目標を掲げている。政府補助の影響などでインフレ率の実態の把握が難しくなっており、植田和男総裁は指標を拡充する方針を示している。【古屋敷尚子】

毎日新聞

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