“妻としての価値0点”…夫婦問題を扱うエンタメに大反響、「それだけストレスをためる人が多い…

夫婦カウンセラーが見た問題点?

【漫画】「お前の主婦力20点」なんという最低夫! 耐える妻が取った行動は…
■増える「夫婦カウンセリング」利用、ChatGPTに相談する若い世代に懸念
「夫婦カウンセリング」とは、夫婦間に生じた問題に専門家が第三者として関わり、関係性の修復や改善、円満離婚などをサポートするサービスのこと。「2人で話すと感情的になる」「話がまとまらない」といった理由から、専門家の俯瞰的・客観的な意見を求めて利用されることが多い。
おいかわ氏が主宰する<夫婦問題相談室フォルテ>の利用層は30~40代が8割で、「特にコロナの時期は相談が多かった」と振り返る。
「それまで問題のなかった共働き夫婦がリモートワークになった途端、相手の嫌な面に気付いたというケースは多かったです。『定年後にこの生活がずっと続くのは耐えられない』とおっしゃった方もいましたね」
とはいえ、意外にも末期的、修復不能な夫婦ばかりではないようだ。
「一昔前までは、『夫婦の問題を他人に明かすのは恥』と考える方が多くいらっしゃいました。2007年に年金分割が制度化されて以降、熟年離婚が一気に増えたのも、長年我慢をしてきた女性が多かったことの表れでしょう。しかし昨今は海外ドラマなどの影響で、ポジティブに夫婦カウンセリングを受ける方が増えました。問題が深刻化する前に相談に来られるため、修復に向かうケースも増えています」
さらに最近は若年化が進み、20代夫婦や結婚前のカップルのカウンセリングも増えているという。
「早期から夫婦関係に向き合うのはとても良いことだと思います。ただ、最近気になるのは、ChatGPTに相談する若い方が増えていること。基本的に対話型AIは全肯定しかしないため、確証バイアスを深めてしまいがちです。実際、カウンセリングでも『自分は正しい』『相手が間違っている』とお互いに否定し合う夫婦は特に若い世代に増えています」
昨今は地上波ドラマに不倫、DV、復讐、離婚、セックスレスといったデリケートな夫婦問題をテーマにした作品が急増している。しかも『蜜と毒』、『夫の家庭を壊すまで』、『インターホンが鳴るとき』、『あなたがしてくれなくても』、『子宮恋愛』など、反響を呼んだ夫婦問題ドラマの多くがマンガ原作だ。
特に女性向けコミックにおいて、夫婦問題は定番ジャンル。このジャンルを数多く揃えるコミックシーモアによれば、とくに広告から流入する人が多く、2023年度から2024年度では広告ヒット作が175%増。近年、さらに人気が拡大しているという。
「私も参考のためによく夫婦問題に関するマンガを読むのですが、最近は勧善懲悪なストーリーが増えた印象があります。夫やその不倫相手といった明確な悪役に主人公(ヒロイン)が苦しめられるものの、最終的には悪役が退治される展開が定番でしょうか。ある意味で単純明快なストーリーがウケるのは、ストレスをためていてスカッとしたい人が多いということ。それだけ、現実の夫婦関係が複雑化しているからかもしれません」
なお、夫婦問題マンガの読者層は女性が90%以上で、30~40代がメイン(コミックシーモア調べ)と、奇しくもおいかわ氏のカウンセリングを求める層に近い。
「一般に女性は身近なテーマを扱ったエンタメを好む傾向にあるため、妥当なデータだと思います。また、30~40代の既婚女性には多かれ少なかれ夫に対する不満があります。『いつかギャフンと言わせたい』と思っている方が少なくないのが、読者層に表れているのではないでしょうか」
■「お前の主婦力20点」…妻に点数をつける夫のマンガが連日1位
昨今では、『うちの夫、やばくないですか?』や『元夫から「ロミオメール」が届いた件について』、『女の期限はいつまでですか?』などが人気だと言うが、ここ最近では『60点の夫婦でいいのに』がコミックシーモアのデイリーランキングで連日1位を獲得(すべてコミックシーモアのオリジナルコミック「シーモアコミックス」)。
本作は、「お前の主婦力20点」「もはや妻としての価値0点」など、家事を点数で評価する夫のモラハラに耐え、やがて力強く立ち上がる女性が主人公。「まったく反省しない夫で、奥さんが強くて感動!」、「男性側が最低。主人公はつらい目に合いますが、最終的にはスカッとする」「たくましいヒロインを応援したくなる」と、高い支持を集めている。
「妻に点数を付けるのは、精神的DVに相当する許されない行為です。こうした精神的DVを受けた側は、自分さえ我慢すればいい、相手の期待通りにできない自分が悪いと思い込み、自己肯定感が低下します。長期間に及ぶと、無感情になりやる気や判断能力も失われていくでしょう。私のカウンセリングルームにも近年、精神的DVの相談が増加傾向にありますが、本作のような作品に心を救われている読者も多いのではないかと思います。マンガのストーリーによって、『悩んでいるのは自分だけじゃない』と思うだけで心がラクになる、元気が出るといったポジティブな影響もあると思います」
ただし、マンガに影響されすぎることにも注意は必要だと、おいかわ氏は念を押す。
「影響されすぎて、相手への怒りを増幅させないよう注意はしていただきたいです。感情に任せてしまうのではなく、その後のことまで考慮したうえで慎重に進めていくことをおすすめしたいです。そして、ドラマやマンガのように単純明快でないケースの方が多いのが実情。同じ問題であっても、すべての方に同じ解決方法が当てはまるということではないため、その方の目的に応じた対応が必要です」
おいかわ氏によると、「当相談室では相談者の男女比がほぼ同数であり、年々、妻の暴言に苦しむ夫からの相談が増えている」とのことで、<妻=善/夫=悪>の二元論で語れるほど現実の夫婦問題はシンプルではないようだ。
「これまで数多くの夫婦問題に立ち会ってきましたが、どちらかが100%悪いケースはほとんどありません。夫婦関係を修復するためには相手の気持ちを理解したり、時には自分の価値観を疑ってみたりすることも必要です。多様なエンタメに触れることで、さまざまな夫婦の在り方を知り、『もしかして自分も悪いところがあったのでは?』と気づくことも、夫婦関係の変化に繋がるのではないかと思います。その上で具体的な解決を求めるのであれば、専門家に頼っていただきたいですね」
AIやSNSといった個人の価値観を増強するツールが高度に発達した今、エンタメは自分とは異なる価値観に出会える貴重な場にもなった。特にマンガ大国・日本には、多彩な作品性のマンガが存在する。たくさんのマンガを楽しむことで、スッキリするだけでなく、新たな視点や気づきを得ることができる。そうして夫婦関係が良好になるのであれば…願ったり叶ったりという人も多いのではないだろうか。
(文:児玉澄子)
【監修】
おいかわ のりこ 「夫婦問題相談室フォルテ」代表
家庭内コミュニケーション研究家・夫婦カウンセラー。1968年岩手県生まれ、日本女子大学卒、専業主婦・離婚・子育て経験あり。自身の人生経験を活かし、夫婦家族問題解消に向けたサポートを行う。相談実績11年 約6,000人。文京区春日にてカウンセリングルーム兼カフェ(cafe de Forte)を営んでいる。
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