2度の乳がん手術経験も…“トランスジェンダー”アイドルの本音「施設で育ち…自分の気持ちはフ…

アイドル活動するトランスジェンダーの蜘蛛さん

【ビフォー写真】爽やかイケメン時代の蜘蛛さん
◆「女の子になりたい」という本音に気づけず…幼少期から悩んでいた自身の“性”
――2度目の乳がん手術を受けるために、入院着を着てのファッションチェックをする様子が話題になりました。現在の状況を教えてください。
「2024年8月に右胸の乳がんステージ2が発覚し、2024年9月に全摘出手術を行いました。そして今年7月に手術痕が開き再縫合を行い、8月に運動制限が解除され、リハビリなどを経て現在に至ります。体調不良や再発もないので、問題なく仕事復帰をしています」
――蜘蛛さんは性同一性障がいであり、トランスジェンダーであることを公表されています。何歳頃から自身の性に対する悩みを感じていたのでしょうか?
「幼稚園の頃からだと思います。『男の子は元気に鬼ごっこ』『女の子はお人形遊び』みたいな教えに、すごく違和感を抱いていました。周りと合わせたり、期待される男の子でいたいと頑張ったりしていたので、『女の子になりたい』という本音に気づいたり、自分の気持ちを認めたりは、まだできなかったです。22~23歳のときに性同一性障がいの診断書を手にして、『女の子になりたかった』気持ちや悩みと初めて向き合うようになりました」
――周囲の反応や行動に対して悩んだことはありますか?
「『男ならこういうの好きだよね』『彼女はいる?』のような問いに本音で反応できず、無難な返答を探して悩みます。「男と女どっち?」という反応もよくされて気まずいです。一般的に見て、どちらにもはっきりと該当できていない自分を感じるときは、居場所がないと孤独を覚えることもあります」
――幼少期はどのような思いで生活をしていましたか?
「ただただ、周りの大人が期待する自分(聞き分けのいい男の子)を演じることに必死でした。必要とされたり愛されたりするために、自分の気持ちはフル無視で、毎日を無難に『普通』に溶け込めるように過ごしていました」
――悩みを相談できる人はいたのですか?
「いなかったです。施設で育ち、転校も多かったので、相談ができるほど同年代の子と仲良くなれることはまずなかったです。大人には期待されたかったので、弱音は吐かないように努めていました」
◆「人と違っていていい」という言葉に救われ、アイドルを目指すきっかけに
――蜘蛛さんは、現在アイドル活動をしていますが、アイドルを目指したきっかけは?
「現所属事務所の運営さんに偶然出会い、『人と違っていていい』という言葉に救われて、撮影やレッスンに必ず行くようになりました。そして気づけば、アイドルとしてデビューしていました」
――アイドル活動を始めてから心境の変化はありましたか?
「昔からブレない漠然とした夢が明確になりました。“生きづらい”と感じる子の支えになれる仕事がしたいけど、何をしたらいいかが自分で決められず、ずっとふらふらと生きていました。口下手で人の視線が怖かったので、自信を持ってステージにも立てなかった。泣きながらレッスンを受けたり、ライブ前に大泣きしたりして、周りはびっくりしていましたが、今はアイドル活動が生き甲斐です。ステージに立てること、活動できる環境や人に恵まれていることにすごく感謝しています」
――アイドル活動を通して伝えたい想いを教えてください。
「『どんな気持ちも経験も無駄じゃないよ。みんなそれぞれが違って素敵だから、自分の弱いところ、ぐっちゃぐちゃなダメなところも否定しないで、どんな自分もギュッて大切に愛せたらいいね』と伝えたい。重いしわがままだけど、これまで頑張って生きてきたあなたは偉いです。これからもいろいろあっても、なんとか楽しみながら私と生きていてほしい。独りじゃないし、死んじゃったら、大丈夫だよって抱きしめることができないから。自分自身に責任を持って生きてみる“勇気”を、下手くそな私なりに伝えたいです」
――アイドルとしての目標や夢は?
「性別を言わなくても“蜘蛛”として、世間に認知されることです。蜘蛛の存在や音楽は特別とか必要とか言われたらうれしい。『自分と似た境遇の子や生きるのが少し不器用な子の背中を強くやさしく押せる人』になるのが夢。私が作るモノで、いろいろな人が泣いて喜んでくれたり生きる希望を感じてくれたりするというのが、すごくなりたい理想像です」
――アイドル活動以外で挑戦したいことはありますか?
「笑ってもらえる深夜のラジオ。性別関係なく、みんなが“自分の好きを貫くため”のファッションブランドも作りたい。心を強くメイクアップするコスメのプロデュースや、あなたの絶望を私の絶望で救えるように、どろっどろなアート(私が描いてきた絵)展もしたいです。施設で育ったので、NPO法人や子ども支援の活動にも興味があります。本や写真集も夢ですね。生きづらいと感じる子に、生の想いと声で寄り添える人になりたいので、挑戦したいことだらけです」
◆“寄り添い支え合える”社会の実現へ 人と違うことを知る機会を持ってほしい
――SNSでは、ありのままの姿を投稿されています。始めたきっかけを教えてください。
「性別や病気、家族のことを含め、自分の少し珍しい経験を笑ってくれたり、勇気として受け取ってもらえたり、理解できなくても『こんな変な人もいるんだ』と知ってもらえるきっかけに私がなれば、これからを生きる子どもたちの“生きづらい”を少しは減らせるかなと思い、SNSで発信を始めました」
――SNSへの想いは強いのですね。
「生きているのに自分が死んでいるようで苦しかったとき、私もSNSや周りの言葉や音楽に励まされたので、恩返しがしたいです」
――辛辣な言葉や、逆に勇気づけられた言葉などはありましたか?
「『自分らしく生きてみたい』『悔しいし諦めたくない』『こんな社会はおかしいから伝えたい』など、反骨精神で生きてきました。SNSの言葉は本当に辛辣で、アンチは良くないですが、発信のネタが増えるからむしろ感謝です。そんな中、『勇気をもらえたよ』『考え方が素敵です」といった言葉は本当にうれしいです。どんなに疲れていても精神が病んでいても、投稿を楽しみに待つ人がいれば頑張れる。貰っている想いを無駄にはしたくないから、楽しんで頑張れています」
――SNSを通して実感したことは?
「SNSは発信も何を思うかも自由ですが、“人を想える言葉”が増えれば、やはり気分がいいです。言葉は人を生かすし逆も然りなので、私も発信や発言には気をつけています」
――さまざまな活動をするなか、日本の現状について想うことはありますか?
「やはり無知です。人と違うことを知る機会は、自分で作らなければ“ない”です。幼少期からの学びが時代に合っていないのか、メディアやマスコミの“興味を持たせるコンテンツ”作りが下手なのか、“無関心”を装わないと対人ハラスメントなどと言われる世の中なのか。全部かもしれません。知らないことに対して、怖いと思うのは当たり前です。障がいや病気など、知れば理解ができなくても“寄り添い支え合える”社会が実現へと動いていくのにと、期待を込めて想います。相手を知ってみようとする気持ちは、特別で大事ですよね」
-
映画『国宝』で注目 春江の少女時代を演じた根本真陽“入れ墨”メイクは「ものすごいものを背負った感じ」
社会現象級の大ヒットで上映が続いている映画『国宝』。高畑充希が演じる春江の少女時代、その重要な役どころを担い、“入れ墨”シーンで鮮烈な印象を残したのが若手俳優…
エンタメ 1時間前 ORICON NEWS
-
『ストロボ・エッジ』10年ぶり新作読切掲載へ 作者・咲坂伊緒「主人公は安堂です」
漫画『ストロボ・エッジ』(作者:咲坂伊緒)の10年ぶりとなる新作読切が、10日発売の『別冊マーガレット』11月号に掲載されることが発表された。 【画像】人気…
エンタメ 1時間前 ORICON NEWS
-
マガポケ話題企画「持って帰れる複製原画展」大阪開催 『WIND BREAKER』『薫る花は凛と咲く』など掲出
2025年8月1日で10周年を迎えた講談社「週刊少年マガジン」編集部が運営する漫画アプリ「マガポケ」が、「持って帰れる複製原画展」を大阪で開催することを発表し…
エンタメ 1時間前 ORICON NEWS
-
第2子出産の石原さとみ、NHK『トリセツショー』でMC復帰「ホームに帰ってきた!」
今年5月に第2子出産を発表した俳優の石原さとみ(38)が、16日放送のNHK『あしたが変わるトリセツショー』(後7:30)でMC復帰を果たすことが発表された。…
エンタメ 1時間前 ORICON NEWS
-
川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』映画化 岸井ゆきの×浅野忠信が初共演、監督は岨手由貴子
作家・川上未映子による小説『すべて真夜中の恋人たち』(講談社文庫)が、監督に岨手由貴子、主演に岸井ゆきの、共演に浅野忠信を迎えて映画化され、来年(2026年)…
エンタメ 1時間前 ORICON NEWS