「家売るオトコ」地道な不動産営業の経験生かし、芝浦の都市開発へ “中の人”の思いとは?
野村不動産 高橋和也さん(高=はしごだか)

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■地道な活動で1年目にして16件契約、人を知る、街を知る…営業の実態
新卒で野村不動産の住宅事業部門に所属して15年。13年間は営業マンとして分譲マンション「プラウド」の販売を担ってきた高橋和也さん(高=はしごだか)。社内で名を馳せた営業マンだ。
その第一歩を踏み出したのは2009年、生まれ育った関東とは文化の違う名古屋支店だった。当時の名古屋は戸建ての文化が根強く、プラウドの認知度も低かったため、「駅前や企業を訪問しチラシ配布・夕方はお客様に電話フォローし、週末の接客の準備を行い、翌週の告知資料の準備を行う等ひたすらお客様にマンションギャラリーにお越し頂けるような地道な作業を繰り返していた」という。
まさにイメージ通り、地道な営業活動に思えるが、高橋さんが根底に抱いていた「良い物件を当社が提供していることをとにかく知ってもらいたい」という思いが伝わったのだろう。1年目にして16件の契約を成立させた。ところが、初年度のこの成功で「ちょっと天狗になってしまったのかもしれない」と苦笑する高橋さん。その後「いかに自社の物件が素晴らしいかを一方的に伝えるだけの営業をするようになり、契約に結び付けられなくなってしまった」という。
しかしこの失敗が、その後の営業方法や営業マンとしての考え方を築き上げるきっかけとなった。
「マンションギャラリーを訪れるお客様には何かしら動機が必ずあります。ですから、物件の素晴らしさを語る前に、お客様がどんな未来を望んでいるかを理解し、様々な提案ができるよう、とにかく人対人として信頼関係を結ぶことに注力するようお客様に対する姿勢を考え直しました」
その後、高橋さんは学校やスーパー、飲食店等その街の情報や住む人たちの様子を知るべく、日々、担当物件の周囲を歩きまわり、通う美容院や病院もエリア内にチェンジ。顧客の立場に立って物件を理解する“自分事化”に力を注いだ。同時に補助制度のある寮を出て、エリア内の当時にしては随分高い物件を選んだのは、「お客様に提供するいい住まい、いい暮らしを、自ら体験するために他ならない」との思いから。私生活でもプラウドに居住し、仕事もプライベートもプラウドと共に人生を歩んだと自称している。
さらに、「求める暮らしのスタイルや住宅に対する予算の考え方などは、100世帯あったら100通り」という考えから、顧客の属性や家族構成に加え、動機や購入希望時期、エリア、広さなどのニーズや比較する競合物件などを1件1件丁寧に集積した顧客ノートを制作。類似する事例や価値観を顧客に紹介することで、より細かく寄り添えるように。
ここまで街を知り、親身に寄り添ってくれる営業マンなら、この上なく頼りになる存在。だが、だからこそ「不動産営業は大変」というイメージはぬぐえないのだが…。
「たしかにお客様相手のサービスなので、予定を自分でコントロールできません。メンバーの中には週末に予約がないと生きた心地がしないとか、目標を達成できるか不安だという声もありました。昔は土日を休むことが難しく、友人の結婚式に行けなかったことも多かったです。(笑)。ただ近年は、オンライン営業も一般的になり、販売体制もシステマティックになって働きやすい環境に変わっています。物件のセールスも、『契約実績だけでなく、お客様満足度も重要な指標』と捉えており、これまで以上にお客様に寄り添う営業姿勢が見えるようになりました」
「家は一生に一度の大きな買い物。この仕事は家を売るのではなく、人生を売ることだと思っている」と高橋さん。それだけに、接客で大切にしているのは「買う買わない以上に、未来に向けた前向きな情報やきっかけを手にしていただくこと、そしてご家族様全員にとって幸せな人生のスタートとなる選択に繋がること」。「その選択が、結果的に自分の担当物件の購入ということになれば、より素敵だと思っています」と不動産営業の醍醐味を語る。
2016年に首都圏に異動してからは、「既存の価値観を打破する意外性・唯一無二性」の追求をテーマに、南向き×眺望×高台が特徴の環境訴求型低層物件では、エリアの印象を180°変える“黒と白”を基調にした高級感と美しさを訴求するキービジュアルや評価が得づらい北向き×中庭viewを訴求するキービジュアルを採用するなど、立地からは想像できないプロモーションに挑戦。また、バス便物件では敷地内にバス停を設け、バス停名を物件名に変更、バス停直結物件(0分0m)としてプロモーションを展開するとともに、敷地内にスーパーを誘致したり、新たなプランを考案するなど、自分でも購入して住みたいと思える商品にするための挑戦を続けてきた。
そんな高橋さんに異動の辞令が下されたのは、2024年のこと。都心の高額商品を専門に扱う新組織の組成及び体制整備に取り組んでいる最中のことだった。
異動先は、野村不動産にとって過去最大規模、約10年間にも及ぶ複合開発事業である「芝浦プロジェクト本部」。東京・浜松町エリアで“都市の利便性と自然の豊かさの融合”をテーマに進める再開発事業であり、オフィス、商業施設、ホテル、住宅が入るツインタワーを浜松町ビルディングの跡地に建設するというものだ。
「いよいよ、野村不動産が本格的に都心に高額商品で挑戦していく…という大きな転換期に向けた準備を進めているところだったので、『まさかこのタイミングで?』と本当に驚きました。ただ入社以来、15年間住宅営業に携わっていたので、新たな挑戦の舞台を希望していた部分もあって。芝浦プロジェクト本部への異動はとても光栄なことでした」
しかし、そのスタートは決して順風満帆とは言えなかった。戸惑ったのは、都市開発の業務が、ブランディング&コンセプト立案から広報活動、プロモーション、イベント企画&実施、エリアマネジメント活動、近隣エリアの開発業務・用地取得業務など実に幅広く、難易度も高かったこと。「住宅営業では、自分の経験値で判断して”YES”と思えれば成功するだろうという感覚を持っていましたが、それが通用しない。会議で何も発言できないし、半年間は本当に大変でした」と苦笑する。
そして環境に慣れて業務理解も進んだ頃、高橋さんは都市開発について大きな気づきを得ることになる。それが、「ツインタワーを作り成功させることだけでなく、立地の価値、エリアの価値そのものを向上させることができるプロジェクトである」という認識だった。
「住宅営業時代には、既存の街の魅力を探し、理解し、そのエリアの良さをお客様に伝えてきましたが、本プロジェクトでは、立地・エリアの価値そのものを変えることができる仕事であるということに気づいたんです」
任されたプロジェクトは、20年、30年先を見据えた街づくり施策であり、多くの人の幸せと社会の豊かさを生み出すプロジェクトだと認識したことで、高橋さんの街を見る目は大きく変化。
「プロジェクトを通して、新たな東京の街のあり方やライフスタイルを提案することができれば…と、やる気が湧いてきました。芝浦には他の都市にはない“水辺”という大きな強みがあります。そこにコミットしていくことで、東京に新たな街の魅力を創出できると考えました」
■都市開発に携わり価値観が変化、「今は何でもできるかもしれない」
様々な企業との共創も住宅営業時代には経験できなかったことで、広い視点を持つきっかけになっていると語る。
「『世界のあの都市と比べてどうか』という会話が本部内でなされるなど、視点が世界基準です。さらに、自分たちが提供するアセットやサービスに対価を支払ってくれる方だけが大切なのではなく、この街・エリアに訪れる全ての方が僕たちのお客様ととらえています。もちろん、一人一人と向き合ってニーズを聞くのはこれまでと同じですが、その輪をどれだけ大きくできるか。それが今のやりがいにもなっています」
ところで、住宅営業担当から都市開発の担当者となり、「価値観が変わった」と言っていると聞いたのだが、その真意とは?
「住宅を販売していた時は、お客様に家を購入いただく=お客様が幸せになる、という感覚。利益を上げる行為とお客様が喜ぶことが、僕の中では一緒。だから、いっぱい売れる=いっぱい人を幸せにしている、『僕は社会貢献をしているんだ!』という感覚でした。ただ、それでは、購入いただいた人しか幸せにできていないということになる。でも芝浦プロジェクト本部に来て、人が『この街は素敵だね』と言って訪れてくれるだけで、僕たちはお客様と繋がることになると考えるようになった。そこから、今まで資本主義的な考え方、利益=成果という価値観だったと気づいたんです。
今も建物を建てて売る・貸すという根本的な業務は一緒ですが、今後は直接的な繋がりだけでなく、間接的な繋がりも、そして社会貢献や公共的観点の視野も持ちながら、より多くの人の幸せと社会の豊かさを追求したいと考えています。両方を知る自分だからこそ、今は何でもできるかもしれない、新たな環境に挑戦したいとも思っていて」
住宅営業を経て都市開発に携わり、新たな視点を得た高橋さん。「この先、例えば地域経営学を学び、地方創生に取り組む活動を行ったり、街の再生や新たな街づくりに取り組む政治家を目指したり、将来的には未来の街づくりに貢献する人材を育成するために教育者になるなど、さらにその先へという気持ちも生まれています」と、自身にとっても大きな転換点となったようだ。
現在の東京は、再開発ブームと言えるほど多くのプロジェクトが進行中。ただ、「同じような建物ばかり」「人に寄り添ってない」「景観が壊される」など、何かと批判的に見られがちなのも事実だ。しかし、そこでどんな人たちが、どんな考えや思いを持って取り組んでいるのかを知ると、少し見え方が変わってくるかもしれない。住宅営業で1人1人の顧客の人生や生活にとことん向き合ってきた人が手掛ける街づくり。どんな街ができるのか、楽しみにしていたい。
(文:河上いつ子)
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