鳥インフルエンザウイルス 渡り鳥が日本で一堂に会して多様化

2025/10/29 17:31 

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 養鶏などに甚大な被害をもたらす鳥インフルエンザウイルスは、異なる繁殖地から日本に飛来した渡り鳥の集団間で遺伝子の組み換えが起こることで多様化していることが分かったと、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の研究チームが29日発表した。

 日本に来る渡り鳥は、繁殖地である東アジアや北太平洋からそれぞれ異なる遺伝子型のウイルスを持ち込む。チームは、2024年シーズンに国内の家きんや野鳥から得られた高病原性鳥インフルエンザウイルス計225株のゲノム(全遺伝情報)を解析した。

 その結果、遺伝子型は6種類が確認され、このうち4シーズン連続で検出されたのは1種類のみ。ほか5種類は24年シーズンに初めて検出されたものだった。

 ウイルスの遺伝子型を調べると、異なる繁殖地から来た渡り鳥の間で遺伝子の再集合が起きていることが分かった。再集合とは、2種類のウイルスに感染した個体の細胞内で遺伝子の組み換えが起きる現象をいう。チームは、多くの渡り鳥が日本で一堂に会することでウイルスが共有され、繁殖地に持ち帰られて新たな遺伝子型が生まれ続けているとみている。

 チームの内田裕子・農研機構グループ長は「ウイルスの病原性や感染性も毎シーズン多様化しており、大量に触れればヒトへの感染も起きる可能性がある」と警戒を呼びかけた。【酒造唯】

毎日新聞

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