露で「過去最大」の外交イベント 思惑交錯するBRICSの現状は
中国やロシアなど有力新興国の枠組み「BRICS」の首脳会議が22~24日、露中部カザンで開かれる。昨年8月にイランやエジプトなどの新規加盟による拡大で合意して以降、初めて首脳同士で集う機会となる。議長国のロシアとしては、「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国をさらに引きつけ、欧米への対抗姿勢を強めたい構えだ。
招待国を含めて24カ国から首脳級が出席し、中国の習近平国家主席やインドのモディ首相らも参加する予定だ。ロシアでの外交イベントとしては過去最大規模になる見通しという。
露メディアによると、ウシャコフ露大統領補佐官は10日、招待した中東や東南アジア、アフリカなどの国々から30カ国以上が参加予定と発表した。会議の主題は「世界の公平な発展と安全保障のための多国間主義の強化」になると述べた。
プーチン露大統領は20カ国以上の首脳らと2国間の会談を実施予定という。
露政府の説明では、BRICSに対しては34カ国が加盟や協力への関心を示しているとされる。ただ、この枠組みが今後も拡大を続けるかは懸案の一つだ。
欧米に対抗して連携を強化したい中露に対し、グローバルサウスには中立的な立場を堅持する国が少なくない。BRICS内でも、経済的な利益を重視する国があるなど思惑は異なる。政治体制やイデオロギーは問わないため、加盟国が増えるほど、枠組みの性格が曖昧になるジレンマを抱える。プーチン氏も18日、加盟国拡大への対応について「慎重に検討していく必要がある」と言及した。
BRICSは昨年8月の首脳会議で、従来の参加国である中露印、ブラジル、南アフリカの5カ国に加え、エジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、アルゼンチンの新規加盟を発表した。
しかしその後、アルゼンチンが一転して不参加を表明。また、ロイター通信は1月、サウジ高官の「正式には未加盟」との発言を報じた。ペスコフ露大統領報道官は、サウジの立場は近く明らかになるとの見通しを示している。【モスクワ山衛守剛】
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