米国のホームレス18%増、集計始まって最多 背景に住宅費高騰など

2024/12/29 11:16 

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 米国でホームレスが急増している。米住宅都市開発省が27日発表した報告書によると、2024年1月時点で77万人超と前年比で18・1%増え、07年に集計を始めてから最多になった。住居費の高騰や不法移民の流入、新型コロナウイルス流行時に実施された支援措置の打ち切りなどの影響があるという。

 報告書ではシェルターや仮設住宅の滞在者など一時的に住む場所を追われた人もホームレス状態とみなした。

 世代別で増加率が最も大きかったのは18歳未満だった。不法移民が増えた影響で子どものいる家族のホームレスも過去最高となり、人数では前年から約4割増えた。ニューヨークやシカゴなど移民流入の影響を受けた地域が押し上げた。

 人種別では黒人が3割超を占めた。国家的な課題である退役軍人のホームレスは優先的な支援により8%減少し、過去最低水準となったという。

 報告書はインフレ、中低所得世帯の賃金の伸び悩み、人種差別の根強い影響などにより米国のホームレス支援は「限界」にあると指摘。さらに、コロナ対策で実施した子育て世帯を対象とする税額控除の終了などが響いたと分析した。

 住宅都市開発省は、調査時点から1年が経過しており、現状を反映していない可能性があるとしている。【ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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