韓国旅客機炎上 米当局、韓国政府と合同調査 記録装置を解析へ

2024/12/30 20:00 

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 韓国南西部の務安(ムアン)国際空港で済州(チェジュ)航空の旅客機(乗員・乗客181人)が炎上した29日の事故で、韓国の国土交通省は30日、米国家運輸安全委員会とボーイング社の関係者が30日夜に訪韓し、韓国政府との合同調査を行うと明らかにした。韓国内にある事故機と同じボーイング737―800型の全101機を調査する方針も発表した。

 韓国当局は、管制官への聴取や資料確認など調査を進めている。また、国交省は30日、事故機から回収された二つのフライトレコーダー(飛行記録装置)を分析機関に送ったと発表した。うち一つは一部が破損しているという。原因解明には時間がかかるとみられる。

 一方、大手紙「朝鮮日報」によると、30日朝、北西部・金浦(キンポ)国際空港を出発した済州航空の旅客機が空港に引き返す事案があった。29日の事故機と同型で、離陸直後に着陸装置に異常が発生したという。報道では、離陸前の検査で異常は確認されていなかった。

 炎上事故では179人が死亡した。発表などによると、事故機はエンジンが鳥を吸い込むなどの「バードストライク」が起きた後、着陸を試みたものの車輪は出ず、胴体着陸を開始。だが減速せず、滑走路外の外壁に激突した。車輪など着陸装置が正常に作動しなかった可能性が指摘されている。

 鳥類の衝突によるエンジンの故障が事故原因と指摘する声もあるが、国交省当局者は「エンジンの異常は着陸装置の故障とは連動しない」と説明。また、「着陸装置は手動でも操作できる」とも述べている。

 事故犠牲者の身元確認作業は夜通し実施され、30日も続いた。釜山(プサン)地方航空庁によると30日午後4時の時点で146人の身元が確認された。務安空港ではDNA鑑定や検視の手続きのために多くの遺族が寝泊まりしながら待機していた。

 親族が犠牲となった金昶汶(キム・チャンムン)さん(59)は長時間、検視手続きを待ち、「早く遺体を病院などに迎えてあげて、葬儀の手続きをしたい」と疲れた様子で語った。

 韓国政府は1月4日までを「国家哀悼期間」とし、全国に献花場を設置。務安の献花場には30日、市民や乗客の関係者、政治家などが訪れていた。【務安・日下部元美】

毎日新聞

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