アーミテージさんお別れ会 「日米同盟史上、最も偉大な職人」

2025/05/30 10:31 

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 2025年4月に79歳で亡くなった米国防戦略の専門家で、「知日派」としても知られたリチャード・アーミテージ元国務副長官のお別れ会が29日、東部メリーランド州アナポリスの海軍兵学校で開かれた。親交のあった米外交・安全保障関係者や日米関係に携わってきた人たちなど数百人が参列し、笑顔の遺影がスクリーンに映し出された会場で故人をしのんだ。

 国務省で共に働いたバーンズ前中央情報局(CIA)長官(69)は、アーミテージ氏を「外交が抽象的なものではなく、同盟国やパートナーとの信頼関係を築き、敵対国に対しては厳しさと一貫性を用いるという、極めて人間的な仕事であることを知っていた」と紹介。ブッシュ(子)政権で、パウエル国務長官とアーミテージ氏が率いていた時代を「国務省の黄金時代」と振り返った。

 さらに、アーミテージ氏について「究極の信頼構築者だった」と述べ、日本や東南アジアをはじめ多くの国々と生涯にわたる友情を築いたと指摘してその人間性をたたえた。

 長年の盟友という加藤良三・元駐米大使は、1980年代にワインバーガー国防長官(当時)が来日した際のレセプションで安倍晋太郎外相(同)が、国防総省高官としてワインバーガー氏のそばに付き添っていたアーミテージ氏をボディーガードだと勘違いして話しかけなかったエピソードなどを披露。笑いを誘いながら日米の懸案を巡る交渉を振り返り、アーミテージ氏を「日米同盟史上、最も偉大で、最も熟練した職人」と評し、感謝の言葉を述べた。

 アーミテージ氏は海軍兵学校を卒業後、ベトナム戦争に志願して従軍した。退役後、上院議員秘書などを経て、レーガン政権で国防次官補などを歴任。ブッシュ政権下で01年から05年まで国務副長官を務め、米同時多発テロ事件を受けたアフガニスタン攻撃、イラク開戦、在日米軍再編などで日本との調整にあたった。【アナポリス西田進一郎】

毎日新聞

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