中国、太平洋島国と外相会議 台湾問題の「最前線」で 圧力意図か

2025/05/30 15:42 

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 中国と太平洋の島国の外相会議が28日、南部福建省アモイ市で開かれた。王毅外相は会議後の記者会見で「(太平洋の島国に)『台湾独立』が通用するいかなる市場も存在しない」と強調し、台湾の頼清徳政権をけん制した。

 会議には中国と国交を持つ11カ国の外相らが参加。この地域は歴史的に中台が外交的な綱引きを繰り広げており、今も台湾と外交関係を維持する国がツバルなど3カ国存在する。

 開催地のアモイ市は台湾海峡に面し、台湾の金門島が目視できる距離にある。中国としては、台湾問題の「最前線」に友好国を集め、台湾の外交的劣勢を際立たせて圧力をかける意図があるとみられる。

 王氏は会議での演説で「強権政治が再び台頭し、保護主義の逆流が戻ってきている」と述べ、米国を暗に批判。中国は今回、温暖化による海面上昇の脅威にさらされる太平洋の島国に対し、気候変動対策の支援強化を約束。学生奨学金の提供などこの地域の人材育成に貢献することも表明した。

 トランプ米政権が対外支援に背を向ける「空白」を埋める形で、中国が存在感を高めようとする構図が浮かび上がった。【北京・河津啓介】

毎日新聞

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