ダライ・ラマ14世、後継者選定方法を発表か 中国の圧力高まり受け

2025/07/02 07:00 

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 チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世(89)が2~4日にインド北部ダラムサラで開かれるチベット仏教の幹部会合で、後継者の選定方法について公表する可能性があり、注目が集まっている。

 ダライ・ラマ14世は中国政府と対立し、1959年からインドで亡命生活を送る。チベットの分離独立運動を警戒する中国は、ダライ・ラマ14世の後継者選びにも関与する意向で、今後両者の緊張がさらに高まる恐れもある。

 チベット仏教では伝統的に、ダライ・ラマの死後に生まれ変わりを探す「輪廻(りんね)転生制度」をとり、14世も2歳の時に先代の転生者として認定された。

 中国側からの政治的圧力が高まる中、ダライ・ラマ14世は3月に発表した著作の中で、15世について「(中国以外の)自由世界で生まれるだろう」との見方を示した。さらに伝統的な選定方法を変更し、14世が生前に男女を問わずに後継者を指名することも取り沙汰されている。ダライ・ラマ14世は6日に90歳の誕生日を迎える。

 ダラムサラにあるチベット亡命政府のペンパ・ツェリン首相は1日、毎日新聞のオンラインインタビューに応じ、ダライ・ラマ14世の近況について「公の行事や集会を続けており、非常に元気だ。1週間に1000人以上と面会している」と説明。また中国政府については「少数民族のアイデンティティーを消滅させようとしており、チベット語も標的になっている。チベットと中国を同化しようとしている」と批判した。

 ダライ・ラマ14世は89年、中国からの自立を平和的手段で達成しようとしているとして、ノーベル平和賞を受賞した。昨年12月にはロイター通信の取材に「110歳まで生きられる」とも述べている。【ニューデリー松本紫帆】

毎日新聞

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