FBI本部、“数ブロック先”に移転へ トランプ氏による計画阻止で

2025/07/03 09:34 

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 米首都ワシントン中心部にある連邦捜査局(FBI)の本部が、50年前から使用してきた「J・エドガー・フーバー・ビル」から、近くにある連邦政府機関などが入る別の複合ビルに移転することが決まった。バイデン前政権時代にワシントン郊外の東部メリーランド州に移転することが決まっていたが、トランプ大統領が2025年1月に返り咲いた後、「リベラルな州」である同州への移転計画を阻止すると宣言していた。

 連邦政府の官公庁ビルを管理している一般調達局(GSA)とFBIが1日、FBI本部を別の連邦政府機関などが入る「ロナルド・レーガン・ビル」に移転すると発表した。現在の本部から数ブロックの距離にあり、ホワイトハウスや司法省などにも近い。

 FBIのパテル長官は声明で「これはFBIにとって歴史的な瞬間だ。ロナルド・レーガン・ビルへの移転は、我々の使命を果たす上で最も費用対効果が高く、資源効率の良い方法だ」と述べた。

 FBI初代長官の名前を冠したフーバー・ビルは、1975年に完成した。しかし、約1万人が働くには手狭となり、施設の老朽化も深刻になったことから移転計画が浮上した。いずれもワシントン郊外のメリーランド州と南部バージニア州が10年以上にわたって誘致合戦を展開した末、GSAは23年にFBI本部をメリーランド州グリーンベルトに移転すると発表した。

 ところが、トランプ氏は25年3月、司法省で演説した際、メリーランド州を「リベラルな州」と呼び、移転すれば司法省から距離的に離れてしまうため、連携するうえで問題があるなどと指摘。「我々はそれを阻止し、実現させない」などと述べ、政権として見直しを進めていた。

 今回の発表に対し、メリーランド州選出の民主党の上下両院議員らが猛反発している。議員らは声明で、議会が既にメリーランド州での新たな本部整備のための資金を計上していることなどを指摘し、「この提案に対し、持っている全ての手段を駆使して反対していく」と表明した。【ワシントン西田進一郎】

毎日新聞

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