オーストラリア、パレスチナ国家承認へ 9月の国連総会、NZも検討

2025/08/11 14:27 

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 オーストラリアのアルバニージー首相は11日、9月の国連総会でパレスチナを国家として承認する方針を表明した。記者会見では「(イスラエルと将来のパレスチナ国家が共存する)2国家解決こそが、ガザの紛争、苦しみ、飢餓を終わらせられる、人類最大の希望だ」と強調した。

 アルバニージー氏は今回の決定を巡り、日本、英国、フランス、ニュージーランドの各国首脳と協議したことを明らかにした。7日にはイスラエルのネタニヤフ首相とも電話で協議。イスラエルの侵攻が続くパレスチナ自治区ガザ地区の惨状について「世界最悪を超えている」と指摘し、軍事的手段ではなく政治的手段による解決を訴えたという。

 一方、ニュージーランドのピーターズ外相も11日、同国がパレスチナ国家の承認を検討していると表明した。国連総会が開かれる9月に対応を示す方針だとし、「ニュージーランドは以前から、承認の問題は『するか、しないか』ではなく、『いつするか』だけだと明言してきた」と述べた。

 豪メディアによると、国連加盟193カ国のうち147カ国がパレスチナを国家承認している。ただ、イスラエルとパレスチナの和平協議が停滞し、境界が画定しない現状で、国家承認は象徴的な意味合いが強い。米欧の主要国や日本は従来、国家承認はイスラエルの反発を招き、和平協議の進展にはつながらないとみており、承認には慎重だった。

 しかし、イスラエルが各国からの自制要請に構わずにガザ侵攻を続け、飢餓が深刻化する中、未承認国の議会や世論がパレスチナ国家承認を政府に求める声が強まった。フランスは7月、主要7カ国(G7)の中で初めてパレスチナを国家承認する方針を表明。英国やカナダも条件付きで国家承認する意向を示した。

 豪州国内でもガザの人道危機を懸念する声が高まっている。今月3日にはシドニーの観光名所ハーバーブリッジで数十万人規模の抗議デモが行われ、国家承認を求める世論の圧力も強まっていた。

 一方、日本政府は「平和の進展を後押しする観点から、国家承認の適切な時期やあり方も含め、総合的に検討している」との立場だ。【バンコク国本愛】

毎日新聞

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