タイ新首相に野党党首アヌティン氏 4カ月以内に下院解散を約束

2025/09/05 18:24 

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 タイの下院は5日、新たな首相に野党第2党の保守派「タイの誇り党」のアヌティン党首(58)を選出した。首相指名選挙が行われ、最大野党の「国民党」などから過半数の支持を得た。アヌティン氏は国民党と4カ月以内の下院解散と、その後の総選挙実施を約束している。

 タイの政治は近年、混乱が続いている。タクシン元首相派の「タイ貢献党」が2023年5月の総選挙後、親軍派や保守派と組んで同8月にセター政権を発足させた。しかしセター氏は閣僚人事で憲法が定める倫理基準に違反したとして、24年8月に憲法裁判所の決定により解任された。

 さらに貢献党出身の後任、ペートンタン氏も、隣国カンボジアとの国境紛争を巡る発言で倫理基準違反があったとして憲法裁が先月29日に解任を決めた。

 貢献党は今回、チャイカセム元法相を首相候補に擁立したが、政権交代を望む野党や造反議員らに阻まれた。

 鍵となったのは下院で最多の143議席を有する国民党で、憲法改正に向けた国民投票の実施などを条件に誇り党との連携を決めた。ただ、革新的な国民党に対して王制や既得権益を守りたい保守層の反発が予想され、条件が実行されるかは不透明だ。【バンコク武内彩】

毎日新聞

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