関東大震災後の亀戸事件 東京で追悼会 「歴史から学ばなければ」

2025/09/05 16:51 

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 関東大震災(1923年9月1日)発災後の混乱の中で、労働組合の活動家や社会主義者が殺害された、亀戸事件を記憶する追悼会が5日、東京都江東区亀戸の亀戸文化センターなどで開かれ、市民ら127人が参加した。

 亀戸事件は、震災発生後の9月3日ごろ、戒厳令が布告される中で、南葛地域(現在の江東区、墨田区)で活動していた川合義虎や平沢計七ら若手の労働組合幹部や社会主義者ら10人が、亀戸警察署(当時)に連行され、陸軍に殺害された事件。震災の混乱の中で、「朝鮮人や社会主義者が井戸に毒を投げ入れた」などの流言飛語が飛び交い、多くの朝鮮人らが虐殺された。だが亀戸事件は戒厳令下だったとして、陸軍の責任は問われなかった。事件を風化させてはならないとして、労働組合や市民らが実行委員会を作り1970年から追悼会を開いている。

 この日は、日本近代文学研究家の大和田茂さんが事件の背景などを語り、「国家犯罪であると同時に(警察や自警団に通報した)民衆の犯罪だった面もある。朝鮮人など外国人の虐殺と共に、歴史から学ばなければ」と述べた。合唱団による追悼の労働歌が歌われた後、参加者は同区亀戸の浄心寺にある犠牲者を追悼する碑を訪れ、花を手向けた。【東海林智】

毎日新聞

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