FRB・パウエル議長、刑事捜査の対象に 異例のビデオ声明公開

2026/01/12 15:42 

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 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は11日夜(日本時間12日午前)、ワシントンにある本部ビルの改修工事を巡り、自身が刑事捜査の対象になったことをビデオ声明で公表した。パウエル氏は「政権による脅迫と継続的な圧力」だと批判している。大胆な利下げを進めたいトランプ大統領が、慎重な対応を続けるパウエル氏と確執を深める中、政治からの独立性が重んじられる中央銀行トップを捜査対象とする異例の事態に発展した。

 パウエル氏によると、米司法省は9日、パウエル氏に対する刑事訴追を示唆する大陪審の召喚状を送った。FRB本部ビル改修に関する昨年6月の上院銀行委員会で、パウエル氏が虚偽の証言をした疑いが持たれているという。

 FRBを巡っては、利下げに踏み切らないことに不満を募らせたトランプ氏が、トップであるパウエル氏を「無能」などと再三にわたって非難してきた。

 こうした経緯を踏まえ、パウエル氏は2分近い動画内で、今回の動きは自身の証言や改修工事が標的ではないと言及。「FRBが証拠と経済情勢に基づいて政策金利を設定するか、金融政策が政治的圧力や脅しに左右されるかの問題だ」と位置付けた。

 米メディアによると、改修工事は25億ドル(約3800億円)に及ぶプロジェクト。2022年に始まり、27年に完了する予定だ。予算を7億ドル(約1000億円)上回ると推定され、トランプ政権は華美な内装計画が一因であると問題視していた。捜査当局は、パウエル氏が内装計画の状況などについて、虚偽の証言をした可能性があるとして調べているという。

 トランプ氏は昨年8月、自身のソーシャルメディアに「FRB議長(パウエル氏)への大型訴訟を認めることを検討している」と投稿していた。

 パウエル氏は12年にFRB理事に就任。1期目のトランプ大統領の指名で、18年に議長に就いた。議長職の任期は今年5月までだが、理事としての任期は28年1月まで残っている。

 パウエル氏はビデオ声明で、共和党、民主党を問わず職務に従事してきたとし、「物価の安定と雇用の最大化という我々の使命に専念してきた。時には脅威に屈せず、立ち向かうことが要求される」と述べ、政権からの圧力に毅然(きぜん)と対応する姿勢を示した。

 トランプ氏は11日夜、米NBCニュースのインタビューで、パウエル氏に対する刑事捜査について問われ「何も知らない」と答えた。【ワシントン浅川大樹】

毎日新聞

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