外務省がアニソンコンサート主催 前例ない「外交戦」舞台はアフリカ

2026/02/28 15:42 

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 外務省がアフリカなど「グローバルサウス(新興・途上国)」に向けた日本文化発信に力を入れている。今年度は過去にない取り組みとして、エジプト・カイロなど3カ所でアニソン(アニメソング)コンサートを開催。アニメの熱烈なファンは潜在的に日本が好きになる可能性があるとの判断だ。4月以降も中南米などを含め6カ所程度に日本のポップカルチャー・アーティストらを派遣する。

 西アフリカのコートジボワールの最大都市アビジャンで、「Jポップ・アニメ・コートジボワール2026」と題したコンサートが1月31日開かれた。外務省が国際交流基金を通じて開催し、約600人の地元のアニメファンで満員になった。

 曲紹介のたびに客席からは「ウオー」という歓声が上がり、「NARUTO―ナルト―」や「ドラゴンボールZ」「ジョジョの奇妙な冒険」などの主題歌に合わせて観客たちが歌を大合唱。アニメのコスプレをした客もおり、関係者によると「すさまじい反応があった」という。

 このうち、NARUTOは落ちこぼれの少年忍者の成長を描いたアニメで、同国でも人気が高い。その主題歌を担当する日本のロックバンド、FLOWの入国を控え、SNSには市内に集まったファンらが「待ってます」と書かれたパネルを掲げる動画が投稿された。ファンらは主題歌を歌って踊り、あこがれのバンドの訪問に興奮を隠しきれない様子だった。

 昨年10月にはエジプトのカイロとアレクサンドリアでもコンサートを3回実施し、それぞれ約600人が参加した。歌手らは英語で観客と交流する予定だったが、日本語に反応する客が多かったため、その場で日本語での進行に切り替えたという。ファンからは日本語の声援やアンコールの声も上がった。それぞれの国でコンサートと合わせて交流会も実施した。

 外務省によると、同省のアニソンコンサート開催は「おそらく前例がない」という。欧米や東アジアなどではすでに商業的なアニメ・漫画イベントが開催されているが、途上国ではこうしたイベントがほとんど開かれていないこともあり、今回てこ入れした。

 グローバルサウスは近年、高い経済成長を見せて国際的に発言力を増す一方、中国が経済支援などで影響を強める国も多い。日本もアフリカとは3年に1度、「アフリカ開発会議(TICAD)」を開いて関係強化を目指すが、経済援助額では中国を大幅に下回る。

 それでも、日本発のアニメや漫画はグローバルサウス諸国の国民の心を一定程度つかんでいる場合も少なくない。ソフトパワーを日本の強みとして、「文化外交」を強化する方針だ。4月以降は中南米、中東、アフリカ、中央アジアなど重視する地域6カ所程度に日本人アーティストを派遣する。その地域ごとに人気のあるコンテンツを選び、「日本ファン」を地道に拡大する狙いだ。【田所柳子】

毎日新聞

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