そもそもイランってどんな国? イスラエルが攻撃した背景とは
イスラエルが28日、2025年6月に続き、イランを再び攻撃したと報じられた。中東の軍事大国イスラエルと応酬を続けるイランとは、そもそもどんな国なのか。イスラエルが敵視する理由はどこにあるのか。(25年6月の記事の一部内容を更新して再掲します)
◇親米国家から反転
「唯一のイスラム教シーア派国家」「中東の地域大国」――。イランはよくこのように形容される。
国土はイスラエルの74倍の163万平方キロ、人口は9・3倍の約9150万人だ。原油の確認埋蔵量で世界4位、天然ガスで2位を誇る資源国でもある。人口の大半をシーア派が占め、女性にはヘジャブ(髪を覆うスカーフ)の着用を義務づけるなど、イスラム的な保守的文化が色濃く残る。
かつては親米国家だった。
米国の支援を受けるパーレビ国王は1960年代、脱イスラム化を進める「白色革命」を推進した。欧米文化の影響を大きく受けており、ミニスカート姿で街を歩く女性もいたとされる。
こうした国の形が大きく転換したのが、79年のイラン・イスラム革命だった。
聖地コムで起きた反政府暴動が全土に拡大し、王制が崩壊。シーア派の宗教指導者ホメイニ師が初代最高指導者となり、保守的なイスラム体制が確立していく。
◇イスラエルの占領を非難
その統治体制は独特だ。現在のイランは選挙で大統領や国会議員が選ばれるが、内政や軍事・外交の決定権は、聖職者である最高指導者に集約されている。国軍とは別に最高指導者直轄の革命防衛隊が組織されており、イスラエルに対する攻撃も主導している。
革命以降のイランは反米色を一気に強めた。79年には学生らによるテヘランの米大使館占拠事件が発生し、大使館員が444日間にわたり人質として拘束された。
イスラム国家として、パレスチナの占領を続けるイスラエルへの敵意も強まり、現在の最高指導者ハメネイ師も繰り返しイスラエルに対する非難を口にしてきた。
◇「3年以内に1万発のミサイル製造」
イスラエルは、長年にわたって敵対姿勢を示してきたイランを警戒しており、25年のイスラエルと米国の攻撃では脅威が十分に排除されなかったと判断した可能性がある。
イランは80年代から、秘密裏に核開発を本格化させてきたとされる。イランは「平和目的」だと主張するが、核兵器保有国以外としては唯一、濃縮度60%の高濃縮ウランを製造しており、核兵器取得は時間の問題だとの見方も出ていた。
また、イランはイスラエルに対する抑止力として、ミサイル開発にも力を入れてきた。イスラエルは世界最強レベルの防空網を備えているが、25年6月のイランの報復攻撃では一部のミサイルが着弾した。敵対国イランの核兵器の取得は、イスラエルにとって自国が常に壊滅の危機に直面することを意味している。
「間もなく(イランの)ミサイルは核弾頭を搭載できるようになり、数十万人の命を脅かす。イランは3年以内に1万発のミサイルを製造しようとしている」。イスラエルのネタニヤフ首相は昨年6月の攻撃時の声明で「先制攻撃」を正当化したが、今回も同様の論理で攻撃に踏み切った可能性がある。
◇「抵抗の枢軸」が弱体化
また、イラン指導部は近年、中東諸国で親イラン武装組織の育成や武器供与などの支援を続け、影響力を拡大してきた。こうした組織のネットワークはイスラエルを取り囲むように構築され、「抵抗の枢軸」と呼ばれる。パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスも、その一つだ。
イランはイスラエルとは国境を接していない。しかし、イスラエルとしては、隣接するシリアやレバノン、ガザ地区などでイランが影響力を拡大する事態は看過できない。実際、2023年10月にはハマスがイスラエルへ越境攻撃を仕掛け、大規模な被害を受けた。
ガザ地区の戦闘でイスラエルはハマスを弱体化させ、その勢いを保ったまま、「抵抗の枢軸」の主要組織であるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラにも猛攻を加えた。
シリアでも2024年12月、イランが後ろ盾になっていたアサド政権が崩壊しており、イランのイスラエルに対する攻撃能力は着実に減退していた。
イスラエルが昨年に続いてイラン攻撃に踏み切ったのは、近隣国でイランの反撃能力を十分にそいできたと判断したことも背景にあるとみられる。【カイロ金子淳】
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