核協議は米イスラエルの「カムフラージュ」 識者が見たイラン攻撃
米国とイスラエルが28日、イランへの軍事攻撃に踏み切った。イランは中東諸国の米軍基地などに反撃を行い、紛争が拡大する懸念が強い。田中浩一郎・慶応大教授に米・イランの核協議や背景を聞いた。
◇日中の攻撃、25年6月より犠牲者増か
イラン側からすれば、核協議での米国の要求は到底容認できないものだった。米国はイランに対し、恒久的なウラン濃縮の放棄に加え、弾道ミサイル開発の制限まで求めていたとされる。国際法の観点から、核拡散防止条約(NPT)締約国による平和目的のウラン濃縮活動は認められている。ミサイルもあくまで防衛手段であり、イスラエルに対して有効な射程距離を持ってこそ抑止として機能する。イランにとっては、米国から難癖をつけられて脅されていたという状況だった。
一方で圧倒的な軍事力を持つ米国やイスラエルとは交戦を避けたいのが本音で、交渉での解決を模索していた。しかし米イスラエルにとっては、核協議は攻撃準備が整うまでのカムフラージュに過ぎなかった。
2025年6月のイスラエルによる先制攻撃は夜中に始まったが、今回は明るい時間帯だった。日中の攻撃は、軍事力にそれだけ自信があるということだ。民間人が犠牲になっても構わないという考えもあるとみられ、前回よりも犠牲者が広がることが予想される。米イスラエルには、被害の状況が分かりやすい日中に攻撃を仕掛けることでイラン市民による暴動を引き起こし、体制転換を扇動しようという思惑もありそうだ。
今回トランプ米大統領は攻撃の目的をイランの体制転換と明言しており、目的を達成するまでは攻撃を続けるだろう。イランは既に制空権を奪われており、空爆されやすい状況にある。交戦が続けば徐々に戦力をそがれ、最後は敗北へと追い込まれる可能性が高い。イランは、劣勢の中で米イスラエルにどれだけダメージを与えられるかという、「最後の戦い」に臨むことになる。【古川幸奈】
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