ラッパーから転身 36歳のネパール首相、土石流で問われる手腕

2026/09/11 19:38 

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 ネパールと中国の国境付近で起きた土石流を伴う洪水は、半年前に就任したばかりのシャハ首相(36)にとって試練となっている。昨年9月に政変が起きたネパールで、シャハ氏はZ世代の若者らの強い支持を受けて政権を率いてきた。だが、国政経験は少なく、非常時の指揮に疑問の声も出ている。

 「我々は言い訳は一切せず、国家機関全体を戦時体制で動員している。すべての市民に支援を提供するために、昼夜を問わず取り組んでいる」

 シャハ氏は8月26日の土石流発生以降、SNSで連日、当局の対応状況や被災者へのメッセージを投稿してきた。一方で、記者会見など公の場での発信はカナル外相らが中心となって担っており、シャハ氏がテレビなどを通じて発信することはほとんどない。

 シャハ氏はラッパーから政治家に転身し、カトマンズ市長を経て、今年3月に首相に就任した。ネパールでは2025年9月、政府がSNSの使用を規制したことで若者らによる抗議デモが激化し、当時の首相が退陣。総選挙を経て新たに就任したシャハ氏は新しい世代の象徴として若者らの期待を集めた。

 ただ、発足して間もない政権の運営は手探り状態が続いた。今回の土石流でも、救援活動の遅れや、国外からの捜索隊の受け入れを当初拒んだことなどから批判を浴びた。地元記者によると、災害発生から2週間以上が経過する中、シャハ氏の仕事ぶりや国民への発信の仕方について、所属する国民独立党でも不満がくすぶっているという。

 地元メディアによると、復興にかかる費用は40~50億ドル(約6100億~7700億円)に上るとの推計もある。今後も他国との連携や協力は不可欠で、シャハ氏の手腕が問われている。

 ◇「教訓の蓄積ない」指摘も

 批判の矛先は歴代の政権にも向かっている。ネパールは洪水や地震など多くの災害に見舞われてきたからだ。

 気候変動や災害に関するネパールの著名な専門家、アジャヤ・ディクシット氏は、ネパールが「災害多発国」であるにもかかわらず「災害対応の組織的な教訓の蓄積や能力の構築はほとんど行われてこなかった」と指摘。今回も捜索のための装備や技術の不足が露呈したうえ、政府と自治体間の連携に課題があったと指摘し、「(土石流災害が)ネパールにとっての転換点となるべきだ」と強調する。

 ネパールメディアによると、シャハ氏は米ニューヨークで開かれる国連総会で24日に演説する見通しだ。土石流は温暖化の影響で氷河が崩落したのを機に発生したと指摘されており、各国に気候変動対策や復興支援を求めるとみられる。首相就任後、初めての外国訪問となる見通しで、発言内容などが注目される。【ニューデリー松本紫帆】

毎日新聞

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