支援者からコメもらった政治家、罪に問われない? 識者の見解は

2025/05/20 06:30 

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 自民党の江藤拓農相=衆院宮崎2区=が佐賀市での講演で「支援者がたくさんコメをくださるので、売るほどあります」などと発言し、コメの価格高騰に苦しむ消費者から怒りの声が上がっている。江藤氏は19日夜、「かなり誇張した表現だった」と述べ、発言を撤回し謝罪した。そもそも政治家が支援者からコメをもらった場合、罪に問われる可能性はあるのか。

 江藤氏は18日、自民党佐賀県連大会に続いて催された「佐賀政経セミナー」の講演で発言した。玄米について「精米されたコメより栄養価が高い」などと述べた後、「私もコメを買ったことはありません」「大変なんですよ、もらうのも。石とか入っているんですよ」などと続けた。

 翌19日には一連の発言について、備蓄米が玄米で売られるケースがあることから「ぜひ玄米で買って、精米して食べていただきたいことを伝えたかった」と釈明。ただ、江藤氏は妻から「全部いただいた分でまかなえているわけではない」と言われたとも述べ、支援者からコメをもらったことは否定しなかった。

 政治資金規正法は、政治資金の授受を政治団体の収支報告書に記載し、公開するように定めている。コメは「政治資金」に当たる可能性はあるのか。

 「考えたこともなかった」。政治資金規正法に詳しい上脇博之・神戸学院大教授は、コメはプライベートでもらっている可能性が高いとし、政治活動に関する金品としての「政治資金」には該当しないだろうとみる。

 特定の個人・企業から大量にコメをもらっていた場合、農相としての職務内容や受領した時期によっては「賄賂」とみる余地もある。ただ、上脇教授は「コメ業者からもらったとなると『疑惑』となり得るが、それでも政治倫理の問題としてどうかという観点ではないか」とした。

 その上で、上脇教授は関連業者との接触に当たって、国民の疑惑を招く行為を禁じた「大臣規範」の存在を挙げ、江藤氏の行為や発言は軽率だと批判する。「罰則はないが、政治責任を伴い、支援者からのコメはもらうべきではなかった」

 さらに昨今の物価高にも触れ、「江藤氏の発言はある意味正直だが、庶民の暮らしが分かっていない。多くの国民の痛みが分からないなら大臣失格だ」と結んだ。【信田真由美】

毎日新聞

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