１８日投開票された大阪府忠岡町長選で初当選した無所属新人で元町議の是枝綾子氏（６１）＝共産推薦＝が１９日、町役場で当選証書を受け取った。前町長（６４）が官製談合防止法違反などの容疑で書類送検されて辞職したことを受けての選挙。「入札の透明性の確保は当然で、最低制限価格を事前公表し、住民の信頼を回復する」と抱負を語った。

　前町長は大阪維新の会に所属していたが、書類送検を受けて除名処分となった。維新は今回の選挙に公認候補を擁立せず、是枝氏の他に保守系２候補が立候補。三つどもえの選挙戦になり、是枝氏は次点候補に６５票差で競り勝った。

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　是枝氏は選挙戦について、「不正を許さないという住民の声をたくさん聞いた。共産党の議員をしてきて、清潔で公正な党のイメージを住民が理解してくれた」と振り返った。隣接する岸和田市では、維新に所属していた前市長が女性問題を巡り市議会から２度の不信任決議を受けて失職し、４月の出直し市長選で落選するなど市政が混乱。「維新の市長や町長（の不祥事）に対する反発、岸和田市長選の影響があったのでは」との認識も示した。

　是枝氏は共産党員で、町長就任後も党籍は維持するという。共産党中央委員会などによると、党籍がある現職の首長は埼玉県蕨市長と長野県中川村長で、是枝氏は唯一の町長となる。府内の首長としては２００６年に当選した東大阪市長以来という。

　今後の焦点は是枝氏の町政運営だ。町議１１人のうち共産は３人と少数与党の厳しい議会対応を迫られる。「議会の理解を得なければ予算も通らない苦しさがある。理解を得られるように努力する」と語った。

　是枝氏は泉大津市出身で、日本福祉大１年時に先輩らに勧誘されて共産党に入党した。堺市の病院事務職を経て、２７歳で忠岡町議選に初当選。町議を９期３３年にわたって務め、副議長を経験した。２４年１０月の町長選に立候補して落選したものの、再選した前町長に肉薄していた。【中村宰和】

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　町長選の結果を受け、大阪維新の会代表代行の横山英幸・大阪市長は取材に「町民第一で取り組みを進めてほしい」と述べた。維新は前町長の杉原健士氏を除名処分にし、町長選では候補者擁立を見送った。横山氏は「（有権者を）裏切るようなことがあれば維新への期待はすぐにしぼむ。大いに反省して再発防止と信頼確保に努めていく」と厳しい表情で語った。【高良駿輔】