合法麻薬「フェンタニル」対策強化へ 背景にトランプ関税への警戒

2025/07/15 15:24 

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 岩屋毅外相は15日の記者会見で、米国などで乱用が問題になっている合成麻薬フェンタニルについて昨年までの6年間に国内の税関で密輸が摘発された例はないと強調した上で、厳格に対応する考えを示した。「米国や国際機関などと緊密に連携し、違法薬物の根絶や製造・流通ネットワークの壊滅へ積極的に取り組む」と述べた。

 フェンタニルを巡っては、トランプ米大統領が米国への流入対策などが不十分だとして、カナダに35%、メキシコに30%の高関税を課す書簡を12日までに相次いで公表した。

 日本政府関係者によると、中国の組織が日本の拠点から米国に不正輸出していた疑いがあるとの一部報道もあり、日本に同様の高関税が課されないよう、取り組みを発信したという。

 岩屋氏は「日本が経由地になっているかのような報道もあったが過去6年に摘発はない」とも指摘。福岡資麿厚生労働相も15日の会見で「国内の摘発状況から現時点で欧米諸国のような乱用拡大の実態はないと認識しており、取り締まりを徹底する」と述べた。

 グラス駐日米大使はX(ツイッター)で日本との協力で日本経由での積み替えや流通を防ぐ考えを示している。【田所柳子、寺原多恵子】

毎日新聞

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