自民候補者38人、選挙運動費用を不記載か 23年の愛知統一選

2025/08/16 05:15 

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 2023年4月に行われた愛知県議選と名古屋市議選で、自民党の公認候補だった38人が党愛知県連から公認料などとして選挙関係費を受け取りながら、選挙運動費用収支報告書に記載していなかったことが、毎日新聞の取材で判明した。

 公職選挙法では、報告書に収支を記載し、投票日から15日以内に選管に提出しなければならないと規定しており、公選法に抵触する可能性がある。毎日新聞の指摘を受けて大半が今月14日までに報告書を訂正した。

 県連の23年分の政治資金収支報告書によると、県連は23年4月に投開票された県議選と名古屋市議選に出馬した公認候補計83人に、公認料や陣中見舞い、交通費として1人あたり計15万~60万円を支出。県連はこれらを「「選挙関係費(統一地方選挙)」として報告書に記載した。

 しかし、川嶋太郎・県議長や須崎幹・県連幹事長ら県議選候補28人と、西川学・名古屋市議長を含む名古屋市議選候補10人が、受け取った選挙関係費を選挙運動費用収支報告書に収入として記載していなかった。不記載総額は計890万円。

 毎日新聞は7月29日までに38人全員に質問状を送付。交通費10万円を記載していなかった川嶋氏は「(受け取ったのが)無投票当選後だったこともあり、選挙運動費との認識はなく、政策活動費と認識した。指摘を受け、早急に報告書を訂正する」と釈明した。

 また、須崎氏は公認料50万円を、西川氏は陣中見舞い10万円の不記載を認めた上で、それぞれ「適切に使った」「法の趣旨にのっとって支出した」と説明した。

 今月14日までに20人以上が報告書を訂正。ただ、一部県議は「県連側から報告書への記載は不要と言われた」と主張し、「県連側の支出項目を『活動費』と訂正すべき。県連に申し立てをしている」としている。

 県連は「不記載が判明したものについては訂正した旨の連絡を受けている。今後も報告書の重要性を認識し、透明性の確保を含めて適切に対応していく」とコメント。一部県議が「県連から記載不要と言われた」と主張している点については、「特に回答することはない」とした。

 公選法や政治資金に詳しい神戸学院大の上脇博之教授は「組織的に不記載をしており、報告書に書けない使い方をしていると思われても仕方がない」と指摘する。

 インターネットでも公開される政治資金収支報告書と異なり、選挙運動費用収支報告書は選管に閲覧しに行ったり、情報公開請求したりしないと確認できない。上脇教授は「チェックされづらい仕組みになっている」とし、報告書の公開のあり方にも問題があるとした。【道下寛子】

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