石破首相、進退「しかるべき時に決断」 参院選総括 党四役が辞意

2025/09/02 20:58 

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 自民党は2日、党本部で両院議員総会を開き、大敗した7月の参院選の総括を報告した。石破茂首相は総会で参院選敗北について「総裁である私の責任であり、そのことから逃れることは決してできない」と強調したうえで「地位に恋々とするものでは全くない。しかるべき時にきちんとした決断をする」などと述べた。ただし、決断時期については明言しなかった。

 総会後には、記者団に物価高対策や米トランプ政権の関税政策への対応などを挙げ、「まずは国民がやってもらいたいと思っていることに全力を尽くす」と強調した。

 自民は参院選の総括を終えたことで、党則に基づく総裁選前倒しに関する意思確認に着手。8日に国会議員の書面提出があり、その日のうちに都道府県連を含めた結果が公表される見通しだ。

 首相は総会で「去年の総裁選で多くの同志や国民から『石破であれば変えてくれる』という期待をいただいたが、期待を裏切り、期待外れにより多くの同志を失うことになった。幾重にもおわび申し上げなければならない」と陳謝した。さらに、物価を上回る賃金上昇の実現▽コメなどの農業政策▽防衛力の強化――などの政策課題の解決に党として道筋を示したうえで、「責任から逃れず、しかるべき時にきちんとした決断をすることが私が果たすべき責務だ」とした。

 また、森山裕幹事長は総会で辞任する意向を表明。その後、首相に進退伺を提出した。首相は「適切に判断する」と判断を留保した。また鈴木俊一総務会長、小野寺五典政調会長、木原誠二選対委員長も辞意を表明。党四役が一斉に辞意を示す事態に発展し、政権運営は困難さを増している。

 出席者によると、両院議員総会では首相が進退について「しかるべき時に決断する」と述べたことを評価する意見が出た一方、総括を受けて、ただちに総裁を辞任すべきだとの意見も複数出た。総裁選の前倒し実施を求めている小林史明副環境相は記者団に「前倒し実施をすべきだという思いは変わらない」と述べた。

 総括を受け、総裁選挙管理委員会(逢沢一郎委員長)は2日、党所属国会議員と都道府県連に対して、党則に基づく総裁選の前倒し実施の可否について意向確認を行うことを通知した。前倒しを求める議員は8日に文書に署名した上で党本部に提出する。

 党所属国会議員295人(衆参両院の議長を除く)と都道府県連代表47人の計342人のうち、過半数の172人以上から要求があれば、総裁選を前倒しして実施することになり、首相の進退判断にも影響を与える可能性がある。

 総括では、敗因について物価高対策として公約に盛り込んだ国民1人当たり2万~4万円の現金給付が「決定が選挙直前までずれこみ、『減税すべきだ』との野党の分かりやすい主張に十分対抗できなかった」と指摘。派閥の政治資金パーティー裏金事件などの「政治とカネ」の問題に「国民の多くが十分納得していない厳しい現実がある」などとしたうえで、「解党的出直しに取り組む」とした。

 一方、石破首相に関しては、内閣支持率や政党支持率の低迷で「自民党の基礎体力が低下した」としたが、選挙結果に対する首相の責任は盛り込まなかった。【東久保逸夫、神山恵】

毎日新聞

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