ベトナム人グループ万引き疑い 実行役1人の被害額は1500万円か

2024/11/27 19:55 

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 ベトナム人グループが全国各地のドラッグストアなどで組織的に万引きを繰り返していたとして、警視庁捜査3課などは27日、盗品の集積拠点として使われていた千葉と埼玉、大阪の3府県の関係先計4カ所を窃盗容疑などで一斉に家宅捜索した。

 グループは、本国にいる指示役がSNS(ネット交流サービス)で実行役を募集していたといい、警察当局は、国内外のベトナム人が結びつく「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」とみている。

 捜査関係者によると、家宅捜索されたのは、埼玉県坂戸市のベトナム料理店跡や千葉県八千代市の住宅、大阪市の会社オフィスなど。化粧品が入ったとみられる段ボール箱など計約670点が押収された。盗品を本国に送る前の集積拠点だったとみられる。

 警視庁などは27日、愛知県内のドラッグストアで盗まれた商品を受け取ったなどとして、坂戸市と大阪市の拠点にいたベトナム国籍の男性2人を組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受など)の疑いで逮捕した。拠点の管理役とみられる。

 実行役としては、ベトナム国籍の男女4人が窃盗容疑で逮捕されており、うち一人の女性は「6~10月に150店舗で万引きした」と供述。この女性が関与した万引きの被害額は約1500万円に上るという。

 本国の指示役は男女2人とみられ、うち20代の女性は過去に、国内の万引き事件に関わったとして摘発、強制送還されていた。

 指示役らは、SNSで万引きの「闇バイト」を募集。ベトナム人を中心に利用が広がっている通信アプリ「Zalo(ザロ)」に実行役らを誘導し、指示を出していたという。応募した在留ベトナム人には、元技能実習生も含まれていたとされる。盗品は集積拠点から成田空港などに車で運ばれた後、別の運搬役によって航空機の手荷物としてベトナムに持ち込まれ、販売されていたとみられる。

 警察当局は、国内に複数のベトナム人万引きグループが存在し、ドラッグストアや衣料品量販店などで商品を大量に万引きしているとみている。警察庁によると、2023年の来日外国人による万引き事件は2202件で、うち半数以上の1217件でベトナム人が摘発されている。【菅健吾、朝比奈由佳】

毎日新聞

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