自転車の交通違反に青切符 わが子を「加害者」にしないための防止策

2025/01/07 16:58 

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 冬休みが終わって新学期が始まり、子どもだけで自転車で出かける機会が増えると、事故に遭うリスクも高まる。昨年11月から自転車運転の取り締まりが強化されたが、わが子が加害者になってしまうこともありえる。どうすれば子どもの自転車事故が防げるのだろうか――。自転車ジャーナリストで「自転車の安全利用促進委員会」委員を務め、3児の母親でもある遠藤まさ子さんに、子どもの自転車事故の特徴や防止策を聞いた。【聞き手・賀川智子】

 ――自転車の取り締まり最近の動きは。

 ◆自転車の交通違反に対して反則金を納付させる、いわゆる「青切符」の導入が2026年までに始まります。16歳以上の運転者による113の違反行為が対象予定で、反則金は原付きバイクと同程度になる見込みです。信号無視や指定場所の一時不停止などが重点対象と想定されています。それに先立ち、昨年11月1日からは携帯電話の「ながら運転」の罰則が強化されました。ながら運転に伴う事故の増加が背景にあり、対象年齢は16歳以上だとはいえ、自転車に取り付けられたスマートフォン画面を注視しての運転も禁止事項に入っているなど、小学生のうちから正しいルールを知っておく必要があります。

 ――小学生の自転車事故の特徴は。

 ◆交差点での出合い頭の事故が多い。特に住宅街の信号がない交差点などで、安全確認や一時停止をしないで走り出す子も多く、危険です。小学校中学年ごろからは、歩道で歩行者をひいてしまう事故も増えます。体力がついて走行スピードが増したり、行動範囲が広がったりするためと推察されます。また、停車中の車の脇をすり抜けようとして、ペダルなどが車をこすってしまう物損事故もよく聞きます。

 ――子どもだけで出かける時、親はどう声がけすべきでしょうか。

 ◆大前提として、親自身が基本的なルールを覚えることです。その上で、親が子どもの日ごろの行動範囲を一緒に走りながら、ルールを教えてあげましょう。事故は見通しの悪い場所で起こりやすいので、カーブミラーの存在を教え、幼いころから見る習慣をつけておくことです。冬は暗くなるのが早く、ドライバーからの視認性も落ちるため、夕暮れ時の事故も増えます。また、無灯火は違反にもなりますので、出かける前に電池切れしていないか、リフレクター(反射板)が曲がっていないか確認しましょう。リフレクターシールは量販店などで容易に手に入りますので、お子さんのヘルメットや靴、リュックにはるのもおすすめです。

 ――子ども自身は出かける時どのような点に気をつけるべきでしょうか。

 ◆駐車場にはなるべく立ち入らないでください。コンビニエンスストアの駐車場は車両の出入りが多く、事故のリスクが高まります。また、歩道内では、ゆっくり、大人の速歩きくらいの速度で通行しましょう。前に歩行者がいたら、無理な追い越しをせず、できれば降りて押し歩きましょう。

 ――ヘルメット装着は努力義務ですが、髪型などを気にしてかぶらない子もいます。

 ◆小学校低学年では比較的着用しますが、年齢が上がるほど脱いでしまいます。根本の原因は親がかぶっていないからです。親も髪型の乱れは気になるとは思いますが、命に直結する問題です。最近は子ども用でもキャップや帽子のようなデザインなど多様なタイプが出ています。選ぶ際には試着が大事で、子どもがフィット感やデザインを納得して選べば、中高生になっても着用率が違います。

 ――保護者にメッセージを。

 ◆親がまず正しい知識をつけて、実践することが大事です。自転車の交通安全教育を受けたことがない30~40代の親世代も多く、子どもの方が正しい知識を持っていることもあります。都道府県警のホームページなどには交通安全のクイズがあるので、お子さんとやってみて、親子で正しい知識を身につけましょう。

毎日新聞

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