東海大大阪仰星 持ち味見せるも、遠かった頂点 全国高校ラグビー
◇全国高校ラグビー大会決勝(7日・東大阪市花園ラグビー場)
◇○桐蔭学園(神奈川)40―17東海大大阪仰星●
流れるような連係だった。
0―12で迎えた後半3分ごろ。東海大大阪仰星のスタンドオフ(SO)吉田琉生(るい)はグラウンド中央でボールを高く蹴り上げた。
同時に、仲間たちがあうんの呼吸で相手陣の落下地点へ走り出す。ボールをキャッチした桐蔭学園の選手にNO8駒井良らがタックルを仕掛けると、別の仲間も押し寄せて密集で絡んだ。相手はボールを放さず反則。全員が連動する東海大大阪仰星らしい形で好機を作った。
ここから攻め込んでゴール前で反則を誘うと、ボールを持った吉田が「自分の前にスペースが空いていた」と素早くプレーを再開して駆け出した。タックルに来た相手選手たちを軽やかなステップでかわし、インゴールへ。吉田の個人技が光ったが、チームで奪ったトライだった。
だが、その後はタックル後のボール争奪戦やセットプレーで後手に回り、思うようなプレーをさせてもらえない。「ボールコントロールや、(接点での)一人一人のボディーコントロールでミスが多かった」と吉田は振り返った。自身もキックの狙いを変えるなど工夫したが、打開できなかった。
後半勝負を描いていたが、桐蔭学園の力は予想以上。後半9分から12分間で4連続トライを奪われ、勝負あり。終盤に2トライを返して意地を見せたが、完敗だった。
東海大大阪仰星はコミュニケーションを大事にしてきた。普段から練習の合間に選手同士の話し合いを重ね、プレーの狙いや細かな動き出しのタイミングを固めてきた。
大会を目前に控えた2024年12月下旬には、部員約120人全員で大阪府内の寺に1泊した。学年や部内の立場を超え、グラウンドから離れた場所でお互いの胸の内を率直に語り合った。吉田のトライもそうした取り組みの末に生まれたものだった。
大一番でチームの持ち味の一端は出したが、頂点は遠かった。準優勝の悔しさをどう今後につなげるか。湯浅大智監督は「1、2年生は最上級生にリスペクトを持って、今、この瞬間から生きることができるかどうか」と言う。
優勝6回の名門は、再び頂点に立つための宿題も持ち帰った。【石川裕士】
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