銀行に飛行機、天気予報まで障害 猛威を振るう「DDoS攻撃」

2025/01/09 18:18 

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 年末から年明けにかけ、金融機関のインターネット取引が突然使えなくなったり、飛行機の手荷物預かりシステムの不具合で欠航や遅れが出たりするトラブルが相次いでいる。9日には日本海側を中心とする激しい積雪で空模様を気にする人たちも増える中、日本気象協会が運営する「tenki.jp」が閲覧しにくくなった。これらのトラブルに共通するのは「DDoS(ディードス)攻撃」だ。

 DDoSは「Distributed Denial of Service(分散型サービス拒否)」の頭文字。サイバー攻撃の一つで、特定のインターネットサイトやサーバーなどを狙い、複数のパソコンやIT機器などから大量のデータを送りつけて標的のサーバーに負荷をかけ、システム障害を引き起こす。

 人気アーティストのコンサートやスポーツ観戦などのチケット販売で一時的にアクセスが殺到し、サイトが反応しなくなったり、つながりにくくなったりすることがあるが、こうしたアクセス過多の状況を意図的に発生させるのが、DDoS攻撃だ。

 それほど高度な技術を必要とせず、複数の機器を乗っ取って攻撃するため、攻撃者の特定が難しく、対策がしにくいとも言われる。

 DDoS攻撃の主な目的は、愉快犯のほか、企業などへの個人的な恨み、攻撃と併せた脅迫による金銭の収奪などとされている。サイバーセキュリティー大手のトレンドマイクロによれば、最近は日本に限らず、世界各地でDDoS攻撃が検知され「攻撃者の目的が見えない」という。

 年末年始には三菱UFJ銀行やりそな銀行、みずほ銀行のインターネットバンキングがDDoS攻撃を受け、帰省や旅行で飛行機の利用客が多かった昨年12月26日には日本航空(JAL)も被害に遭った。年が明けて1月2日にはポータルサイト「goo」などNTTドコモの一部サービスが接続しにくくなった。

 DDoS攻撃を代行するサービスも確認されており、今後も攻撃は拡大するとみられる。トレンドマイクロは企業に対し「攻撃を検知したら、国内向けサービスへの海外からのアクセスを遮断するなどルートを絞ることも対策になる」と呼びかけている。【道永竜命】

毎日新聞

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