静岡県掛川市の掛川城二の丸茶室で１２日から繰り広げられたＡＬＳＯＫ杯第７４期王将戦七番勝負の第１局（毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社主催、ＡＬＳＯＫ特別協賛、囲碁・将棋チャンネル、立飛ホールディングス、森永製菓、名古屋鉄道、島田掛川信用金庫、ゼロの会、掛川市協賛）は、４連覇を目指す藤井聡太王将（２２）が挑戦者の永瀬拓矢九段（３２）が見せた一瞬の隙（すき）を捉えて逆転し、１３日午後７時５分、１１２手で勝利した。持ち時間各８時間のうち残り時間は永瀬九段３分、藤井王将２分。第２局は２５、２６の両日、京都市の伏見稲荷大社で、藤井王将の先手番で指される。

　振り駒で先手番を握った永瀬九段が相掛かりの力戦に誘導。１日目の戦いから永瀬九段が攻勢に立ち、藤井王将は防戦に追われた。

　永瀬九段は７七桂の封じ手（４７手目）の後も攻撃の手を緩めず、６五桂、４五桂と左右の桂馬を中央に跳ね出し、迫力満点。一気に形勢を損ないかねない藤井王将だが、１時間半の大長考の末に指したのは、控室では「指しにくい」と疑問視していた２三金。解説の神谷広志八段は「（私は）１秒も考えなかった。やりたい放題やられそうな気もするが」と驚がくした。

　永瀬九段の猛攻を呼び込みながら、手順を尽くして反撃の機をうかがう藤井王将。永瀬九段の７四馬（７１手目）が受け身の手で、藤井王将は７七歩と焦点に歩を打ち込み、攻守が逆転した。９０手目、２三角の王手が狙いの一手で、その後は永瀬九段の粘りを封じて投了に追い込んだ。【新土居仁昌、最上聡】

　◇第１局指し手（１１２手まで）

［先］永瀬

［後］藤井

❶２六歩　　②８四歩

❸２五歩　　④８五歩

❺７八金１　⑥３二金

❼３八銀　　⑧７二銀

❾１六歩　　⑩１四歩３

＜１１＞６八玉１　⑫４二玉６

＜１３＞７六歩５　⑭８六歩２

＜１５＞同　歩１　⑯同　飛

＜１７＞３六歩１　⑱７四歩１４

＜１９＞２四歩４　⑳同　歩

＜２１＞同　飛　　（２２）２三歩４

＜２３＞７四飛１　（２４）７三銀３

＜２５＞７五飛１　（２６）８二飛２

＜２７＞１五歩８　（２８）同　歩４０

＜２９＞８七歩７　（３０）３四歩５４

＜３１＞１四歩５５　（３２）同　香１１

＜３３＞１三歩１５　（３４）８八角成２４

＜３５＞同　銀１　（３６）２二金

＜３７＞１五香４０　（３８）同　香６

＜３９＞同　飛２　（４０）１三金

＜４１＞３五歩２３　（４２）１四歩８

＜４３＞１六飛４　（４４）３五歩２

＜４５＞３七桂１０　（４６）２四歩６３

＜４７＞７七桂３５　（封じ手）

　　　　　　　（４８）５二金１５

＜４９＞３四香６　（５０）２二銀１９

＜５１＞６五桂１６　（５２）６四銀８

＜５３＞４五桂３　（５４）２三金９０

＜５５＞７一角９９　（５６）９二飛５０

＜５７＞５三桂右成２２（５８）同　金３

＜５９＞同桂成３５　（６０）同　銀

＜６１＞８二金　　（６２）同　飛

＜６３＞同角成　　（６４）３四金

＜６５＞８一馬３　（６６）６五桂１１

＜６７＞６三馬７　（６８）５五香２

＜６９＞６九桂１２　（７０）５二歩

＜７１＞７四馬８　（７２）７七歩２３

＜７３＞６五馬１４　（７４）７八歩成

＜７５＞同　玉　　（７６）４四金１

＜７７＞３三歩９　（７８）同　桂１

＜７９＞４六飛９　（８０）５四金打３

＜８１＞７四馬７　（８２）６六歩６

＜８３＞５八金２　（８４）６七歩成

＜８５＞同　金　　（８６）６六歩

＜８７＞同　金　　（８８）６五歩

＜８９＞同　金　　（９０）２三角

＜９１＞３四歩１　（９２）６五金

＜９３＞同　馬１　（９４）６二香

＜９５＞６四歩１　（９６）同　香

＜９７＞７四馬　　（９８）３四角

＜９９＞５六歩　　（１００）７三歩

＜１０１＞同　馬　　（１０２）５六角２

＜１０３＞同　飛　　（１０４）同　香

＜１０５＞８六歩２　（１０６）７五桂２

＜１０７＞５四桂　　（１０８）３二玉

＜１０９＞７五歩　　（１１０）７六金

＜１１１＞６四馬１　（１１２）５四金

　―――４

　まで藤井王将の勝ち