照ノ富士、半年ぶり白星 負けられなかった理由 大相撲初場所2日目
◇大相撲初場所2日目(13日、東京・両国国技館)
◇○照ノ富士(寄り切り)隆の勝●
粘る隆の勝を相手に、なんとか土俵を割らせた後の支度部屋。横綱・照ノ富士は乱れた息を整えながら「今場所はやれることをやって『ダメだったら……』という思いがあった。自信になりました」と言葉を紡いだ。
10回目の幕内優勝を果たした2024年7月名古屋場所の13日目以来、本割で半年ぶりの白星は、悲壮感すら漂わせて手にしたものだった。
隆の勝とは、その名古屋場所の優勝決定戦以来の対戦。体当たりから左上手を狙ったが、簡単に手がかからない。そのまま寄って出るも相手に踏みとどまられた。投げに行ったり、右で相手を押さえつけたりと勝ちへの執念を見せながら、最後は右四つ十分の体勢に持ち込み、寄り切った。
初日の若隆景戦は、立ち合いから強引に右腕をたぐりに行ったところで肩すかしを食らった。「変なことを考えた。悔いが残っていた」。この日は相手がこらえても、じっくり勝機をうかがった。
慢性的な両膝痛に加え、糖尿病を抱える。今場所も探り探りで調整を続けてきたが、満場の声援は今の照ノ富士にとって何よりの良薬になる。さらに負けられない理由もあった。
「奥さん、子どもも見に来ていた。勝っている相撲を見せられて良かったです」
24年は優勝した1月の初場所、7月の名古屋場所以外の4場所で休場(途中休場を含む)。それでも巡業参加を含めた真摯(しんし)な土俵態度から、進退を問う厳しい声は出ていない。
とはいえ、当の本人は思うに任せない現状を歯がゆく感じる。
「後先考えず、やる。自分のすべてを出したい」
綱の重みを一層かみしめる日々が続く。【岩壁峻】
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