中国政府、TikTok米国事業をマスク氏に売却へ? 米報道

2025/01/14 12:21 

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 米ブルームバーグ通信は13日、中国政府が動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業を実業家のイーロン・マスク氏に売却することを検討していると報じた。米議会で昨年4月に成立した法律に従い、ティックトックを中国IT大手「字節跳動(バイトダンス)」から切り離し、米国事業を存続させる狙い。

 報道によると、中国政府はティックトックがバイトダンスの傘下にとどまることを求めている。だが米連邦最高裁は、ティックトックを米国の敵対国以外の企業に売却しなければ、米国内の事業を事実上禁止する新法を支持する構え。中国政府内で、トランプ次期米大統領と蜜月関係にあるマスク氏へ売却する選択肢が次善策として浮上しているという。

 マスク氏が所有する短文投稿サイト「X」がティックトックの米国事業の経営権を取得し、Xが二つのプラットフォームを同時運営するシナリオを想定。「トランプ氏の最も親しい人物との取引は、中国政府にとって魅力的だ」とみられているという。

 マスク氏は2022年にXの前身であるツイッターを買収し、昨年11月の大統領選ではトランプ氏を勝利に導く情報発信をしていた。米国内で1億7000万人の利用者がいるティックトックを手中に収めれば、一般人から政治家まで幅広い層が発言する言論プラットフォーム空間で大きな影響力を持つことになる。

 マスク氏は「言論の自由絶対主義者」を自称。昨年4月には、Xに「ティックトックは禁止されるべきではない。言論と表現の自由に反するからだ」と投稿していた。

 米議会の超党派が昨年4月に成立させた法律では、1月19日までにティックトックの米国事業を売却しなければ米国内でのアプリのダウンロードやアップデートができなくなる。ティックトック側が差し止め命令を求めているが、最高裁は法律を支持する構えを見せている。【ワシントン大久保渉】

毎日新聞

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