自治体カーナビでNHK受信料未払い相次ぐ 静岡 富士、沼津の2市

2025/04/27 15:24 

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 静岡県湖西市でテレビ視聴機能付きのカーナビを備えた公用車にNHK受信料の未払いがあった問題を巡り、毎日新聞が県と静岡、浜松、富士、沼津、磐田の県内5市を取材したところ、富士、沼津の2市で新たに未払いが判明した。ただ、未払いの中には、視聴実態がないケースもある。公金を適切に支出する観点から視聴機能のないカーナビを指定して導入する自治体も出ている。【照山哲史】

 NHKによると、テレビ視聴機能付きのカーナビの受信契約は放送法64条に定められている。一般家庭の場合、自宅で受信契約を結んでいればカーナビの契約は不要だ。しかし、事業所の場合はテレビが視聴できるカーナビごとに受信契約を結ぶ必要がある。この規定の違いが、自治体で未払いが生じる原因となっている。

 愛媛県は今年2月、公用車90台などにNHK受信料の未払いがあったと発表。これを受けて湖西市が公用車142台を調べたところ、テレビ視聴機能付きのカーナビを備える全9台で、計約130万円の未払いが判明した。カーナビを道案内にしか使っていなかった車もあり、「調査で初めてテレビを見られると知った」と話す職員もいたという。

 愛媛県では県の発表以降、全20市町のうち17市町で未払いが表面化した。静岡県と県内5市を対象とした毎日新聞の取材では、県と2政令市を除く富士、沼津市が「未払いがあった」と回答。磐田市が「現在(25日)調査中」としている。

 NHKによると、テレビ視聴機能付きカーナビの受信料は「地上契約」に当たり、2カ月で2200円だ。湖西市の例は故意ではないため、割増金や延滞料は請求しないという。

 湖西市は市長の公用車などにテレビ視聴機能付きカーナビを備えており、今後は必要性の有無を精査するとしている。田内浩之市長は24日の定例会見で「車内では職員と仕事の話をしており、テレビを見る時間もない。私の車にはテレビ視聴機能は必要ない」と明言。他の公用車に関しては「危機管理上必要なものもあるだろう。現場と調整して判断していく」と話した。

 一方、浜松市の中野祐介市長は同日の定例会見で「いつニュース速報が入るか分からず、執務室にいる時もテレビをつけっぱなしにしている。情報収集のツールとして有効活用しており、車での移動中も同じで、必要なものだ」と話した。

 静岡県は約1000台の公用車のうち、44台にテレビ視聴機能付きカーナビを備えている。カーナビは、県内全域の出張が見込まれる場合など、必要性を車ごとに判断し限定的に設置しているという。近年販売されているカーナビは、視聴機能の付いたものが大半のため、必要ないケースについては、「テレビ視聴機能のないもの」と指定して発注しているという。

毎日新聞

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