埼玉・白岡市役所火災 電源復旧せず、8日は臨時窓口で相談業務

2025/05/08 12:06 

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 6日深夜、「埼玉県白岡市役所1階から白煙が上がっている」と警備会社から消防に通報があった。市などによると、同市千駄野の市庁舎から出火し1階部分の約6割が焼けたとみられ、7日は庁舎での業務が全て休止に。本格的な業務再開のめどは立っておらず、市民生活への影響が懸念される。【萩原佳孝、高木昭午、田原拓郎】

 消防によると、6日午後11時20分ごろに通報があり、消防車20台が出動して消火活動にあたったが、市庁舎の1階部分約2250平方メートルのうち約1300平方メートルを焼き、翌7日午前5時10分ごろに消し止められた。けが人はなかった。

 県警によると、当時庁舎は施錠されており、現時点で不審者の目撃情報などはないという。久喜署などが詳しい焼失面積や出火原因を調べる。

 市は7日午前、市庁舎に隣接する生涯学習センターで記者会見し、藤井栄一郎市長が「防災拠点として機能しなければならない市庁舎で火災が発生したことは遺憾。大変申し訳ありません」と陳謝した。

 庁舎は地上4階、地下1階建てで1992年に完成。スプリンクラーの設置義務はない建物だという。火事で1階部分は内部が黒く焼け焦げ、市民課や税務課が入っている南側と西側の窓がすべて割れて窓枠は大きくゆがんだ。外壁は4階まですすで真っ黒になり、2階以上の窓も一部が割れるなどした。

 3~6日は閉庁しており、出火当時は2人の警備員が当直業務をしていた。火災発生前の6日午後10時ごろに見回りをしたという。

 焼損したとみられる市民課や税務課は戸籍や住民票、税金など住民関係の書類を多く扱っているが、警察・消防の実況見分のため、市職員が庁舎内部に立ち入ることができず、被害状況は分かっていない。ただ、行政データの多くはネットワークを通してサーバーやクラウドでも保存されているという。

 代表電話は転送して使えるが、電源や各課の直通電話などの庁舎機能は使えず、本庁舎での業務は窓口も含めてすべて中止となった。住民票のコンビニ交付は可能だという。

 8日には市庁舎近くの保健福祉総合センターに市民課などの臨時窓口を設置するが庁舎の電源が復旧しないため相談業務が中心となり、各種申請の受け付けや証明書交付を含め、再開できる業務は一部にとどまる見通し。

 知らずに庁舎を訪れ、駐車場入り口で説明を聞いて引き返す市民も多かった。近くの50代主婦は「ボヤ程度かと思ったが、被害がとてもひどいので驚いた。1階には市民に身近な窓口が多いので、影響が出ないか心配」と話していた。

毎日新聞

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