フジ「これ以上、下がなかった」不動産収益踏まえ投資 HD大株主社長

2025/05/11 09:30 

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 フジ・メディア・ホールディングス(HD)の大株主である資産運用会社「レオス・キャピタルワークス」の藤野英人社長が、毎日新聞のインタビューに応じた。フジテレビの一連の問題から「これで変わらないとフジもおしまいだけど、日本もおしまいだと思った」と強い言葉でフジHD株の大量保有を決断した理由を語り、他の株主との連携などについても考えを示した。

 レオスは2月6日までにフジHDの株を約5・1%取得している。5月8日に毎日新聞のインタビューに応じた藤野氏は、以前からテレビ業界に関心があり他局の株式も多く保有していたことや、アニメやゲーム産業といったIP(知的財産)分野への期待が高かったと説明。元タレント中居正広氏の性暴力に端を発する一連の問題を受けてCMスポンサーが大量に離れたことが株取得のきっかけだとした。

 藤野氏は「これで抜本的に変わらない会社だったらおしまいだし、こんなことを許す日本だったらおしまい。だから変わらなくてはいけないし、めちゃくちゃよく変わるかもしれない。だとしたら、日本のテレビ局で一番『変化率』が高いのはフジかもしれないと思った」と評価した。

 その上で「投資においては変化が期待できる企業ほど将来的な株価上昇の可能性が高いと考えられる。スポンサーが一斉にいなくなった事態は『これ以上、下がなかった』」と解説。フジHDが不動産事業で多くの収益を上げてきたことなどから「倒産する可能性はほぼなく、安心して投資ができた」という。

 同じくフジHDの大株主である米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」は、社外取締役として、レオスの親会社であるSBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長らの起用を求めている。その北尾氏は4月に記者会見を開き、フジの経営改革案を示した。

 藤野氏は「記者会見の前後は北尾氏と何も話していない」とし、ダルトンの人事案もインターネット上で知ったという。投資はレオスが運用するファンド「ひふみ」を通じたもので、SBIHDの意向は反映されていないとした。そのため、6月に予定されるフジHD株主総会でどういった人事案に投票するかは「決めていない。(新たな人事案を)できればフジ側とダルトン側で調整し、最終的にフジ側が出す形が望ましい」と述べた。

 フジHD株を巡っては、旧村上ファンドを率いた村上世彰氏の長女らが株式の約11・8%を握り、筆頭株主になっている。ダルトンも約7・2%を保有する。旧ライブドアを率い、ニッポン放送の経営権を巡って2005年にフジテレビと争った実業家の堀江貴文氏も、1月にX(ツイッター)で株式保有を明らかにしている。藤野氏は他の大株主らとの連携については「当社の判断で議決権を行使する」と否定的な立場を示した。【町野幸】

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