藤井名人「思った以上にタマネギの味が…」 名人戦一夜明け

2025/05/11 12:54 

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 第83期名人戦七番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催)の第3局で白星を挙げ、3連勝で3連覇に王手をかけた藤井聡太名人(22)が12日、対局場となった大阪府泉佐野市のホテル日航関西空港で取材に応じた。

 最も印象的だったおやつに、1日目午前のおやつに頼んだ「泉州たまねぎプリン」を挙げ、「思った以上にタマネギの味がありつつプリンの風味もあって、今まであまりなかったような味わいでおいしくいただきました」と笑顔で振り返った。

 ◇名前見て「どんな味?」

 泉州タマネギは、旧和泉国に当たる大阪府南西部を中心に栽培されており、水分が多く甘みがあり、肉厚で柔らかい食感が特徴。プリンはその甘みを生かして考案されたもので、藤井名人はメニューを見て「どんな味なんだろうと気になって注文した」。

 一夜明けの記念撮影では、カメラマンに渡された紙飛行機を見事に飛ばしてみせ、居合わせた人から「おお」と歓声が上がるほどの“名人芸”を見せた。紙飛行機を飛ばしたのは「思い出せないほど相当久しぶり」だったが、「むしろもう少し飛ぶかなと思った」と将棋と同様、その結果に簡単には満足しない様子だった。

 ◇相矢倉戦「楽しめた」

 前日までの対局では、5年前に初めてタイトル戦に登場した棋聖戦五番勝負以来の矢倉戦法を選んだ。「先手が急戦を仕掛けてくる展開も考えられたので、矢倉に組めるかはやってみないと分からないと思っていました」

 名人戦では、本局のような相矢倉戦が過去にも多く指されている。中原誠十六世名人が米長邦雄永世棋聖や加藤一二三九段を迎え撃った際や、羽生善治九段―森内俊之九段戦でもたびたび現れ、藤井名人も羽生―森内戦の相矢倉戦をよく観戦していた。

 「自分としてはもうちょっと激しい、すぐに戦いになる将棋の方が好きだったので、矢倉は結構複雑で難しいなというイメージを持っていました」

 当時の自身の好みとは異なる戦法だったが、実際に名人戦の舞台で指してみて、「新鮮さと同時に、名人戦の舞台で相矢倉の将棋が指せるということへの楽しみな気持ちもあった」と、歴代の大棋士と同じ戦法を指せたことを満足そうに振り返った。【丸山進】

毎日新聞

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