日本空港ビル社長「関係切るのはばかられ」 古賀氏長男側へ利益供与

2025/05/09 21:15 

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 羽田空港ターミナルビルを運営する東証プライム上場の「日本空港ビルデング」(東京)の子会社が古賀誠・元自民党幹事長(84)の長男(52)のコンサルティング会社に利益供与をしたとされる疑惑で、日本空港ビルは9日、横田信秋社長(73)らが利益供与を主導し、鷹城勲会長(81)もそれを容認・助長していたとする特別調査委員会の調査結果を公表した。横田氏と鷹城氏は9日付で引責辞任した。

 調査委は「古賀氏の長男に経済的利益を得させる目的で、恣意(しい)的に取引をした。極めて不適切」と批判した。調査委は金額の詳細を明らかにしていないが、利益供与は2011年以降、少なくとも2億円近くに上る可能性がある。長男から日本空港ビル側への便宜供与は認められなかったとした。

 調査結果によると、日本空港ビルの100%子会社「ビッグウイング」は06年9月、空港内のコイン式マッサージチェアの事業を古賀氏の長男が代表を務めるコンサル会社「アネスト」(東京)に業務委託する契約を結んだ。鷹城、横田両氏のトップダウンの形で進み、実際の業務は健康機器販売会社(埼玉)に「丸投げ」状態だった。

 東京国税局は16年、「コンサル会社に業務実態はない」として、16年までの5年間の委託費約1億円は所得隠しに当たると指摘。ビッグ社はその後、販売会社との直接契約に切り替えたが、販売会社からアネストへ売り上げの一部が流れる状態が20年まで続いた。

 販売会社との契約が終了した21年ごろ、ビッグ社は別の企業と契約を結んだ。長男は24年まで断続的に横田氏らに売り上げの一部を流すよう要求したが、別の企業が拒否したため実現しなかった。

 関係者によると、販売会社が関係した利益供与の金額は11~20年で2億円近くになる可能性があるという。横田氏は調査委に対し「元衆院議員の息子で関係を断ち切ることがはばかられた」と説明した。

 また、調査委はマッサージチェア事業の他にも架空の業務委託契約などで長男側に利益供与したケースがあったとした。

 新しく社長に就いた田中一仁氏は都内で開いた記者会見で「極めて重大な事案と受け止めている。誠に申し訳ない」と陳謝した。【岩本桜】

毎日新聞

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