トランプ関税、急成長インドに暗雲 「iPhone」は追い風?
インドは近年、急速な経済成長が進み、国内総生産(GDP)は既に日本に迫る勢いだ。トランプ米政権による関税措置の影響は深刻で、政府は米国との貿易摩擦の回避に向け、率先して交渉を進めている。
「私たちが最初に署名する貿易取引の一つはインドになるだろう」。ベッセント米財務長官は4月28日、米メディアのインタビューにこう述べ、インドとの貿易協定の合意が間近に迫っていることを明らかにした。
◇協定締結に向けて協議
2024年の米国の対インド貿易赤字額は約457億ドル(約6兆5000億円)に上り、トランプ政権は懸念を繰り返し表明してきた。インドのモディ首相は2月に訪米し、トランプ氏と会談。米国の貿易赤字の削減に向けて、年内の貿易協定締結を目指すことで合意していた。
インド大手紙ヒンズーによると、協議は3月から始まっており、米国は、世界最多の人口を抱えるインドに対し、市場参入の機会を広げることを求めてきた。協議では、関税や非関税障壁の削減、通関手続きの簡素化、投資拡大に向けた規制緩和――が主な焦点になっているとされる。
ロイター通信は、インドが米国との早期合意に向けて、米国からの輸入品に対して大幅な関税引き下げを検討していると報じた。約1万2000の関税品目のうち、90%について引き下げや撤廃の準備をしているという。
インド側はその見返りとして、米国向けの主力輸出品である繊維や宝飾品、医薬品などへの優遇措置を求めているとしている。
◇脱中国の受け皿に
インド国内では、輸出を主力にする産業への影響を懸念する声が上がる一方で、高関税を課せられている中国から生産拠点をインドに移す企業もあり、好機と捉える見方もある。
複数の欧米メディアによると、アップルは米国で販売する「iPhone(アイフォーン)」の組み立ての大半を26年末までにインドに移管する方針を示している。
現在、米国では年間6000万台以上のアイフォーンが販売されており、8割が中国製だ。米中対立の激化や中国への高関税が発動される中、インドへ生産を移管し、リスクを軽減する狙いがある。インドは巨大な労働力を背景に、製造業の強化を掲げており、生産拠点の移管の動きは「好機」と捉えられている。
インド輸出組織連盟(FIEO)の幹部は毎日新聞の取材に対し、インドは内需主導型経済で、米国の関税政策が経済に与える影響は限定的との見方を示す。「中国からの移転先として、ベトナムは既に飽和状態にある。インドは多くの企業からの投資を誘致する絶好の機会だ」と話した。【ニューデリー松本紫帆】
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