大阪・関西万博開幕1カ月 来場者伸び悩みも入場券販売は好調

2025/05/13 16:09 

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 大阪・関西万博は13日で開幕から1カ月を迎えた。万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)によると、開幕から12日までの一般客は計261万3509人(11、12日は速報値)となった。万博協会は会期中に2820万人の一般客を想定しており、1日あたり約15万人のペースとなるが、現時点では一度も到達していない。これまでの最多は開幕日の4月13日で、大型連休中も伸び悩んだ。一方で、開幕後の入場券の売れ行きは好調で、早期の誘客が鍵になる。

 一般客の最多は開幕日の12万4339人。それに次ぐのが5月4日の12万516人だった。大型連休中の伸び悩みは否めず、1カ月の平均は約8万7000人にとどまる。万博協会の石毛博行事務総長は12日の記者会見で「来場者が満足することが大事だ。数字だけを追求するものではない」との認識を示した。「前半の1・5倍が後半に入るといわれている。今の数字はそれなりのレベルで、もっと高い数字になる」と楽観的な見方を示した。

 今後の見通しには、プラスの要素がある。万博協会は12日、入場券の販売実績が9日時点で約1138万枚となったと発表した。開幕後に168万枚売れ、直前の1週間で約47万枚増えている。石毛氏は「リアルに万博を見た効果」と評価した。入場券収入で8割超をまかなう運営費の損益分岐点を超えるには、1800万枚程度の入場券販売が必要とされるが、石毛氏は「今の時点で赤字、黒字を判断するのは早すぎる」とかわした。来場者数が増えれば、飲食や物販などの収入アップにもつながるため、早期の誘客やリピーター確保も鍵になる。

 来場者数を巡っては、公表方法が物議を醸している。万博協会は、パビリオンのスタッフや報道関係者など関係者を含めて公表しており、12日までに計313万4884人となる。数字上は300万人を突破したことになるが、一般客の合計とは50万人以上の開きが生じている。1000万人の節目などでは、乖離(かいり)はさらに大きくなる。交流サイト(SNS)などで「水増しではないか」という声も出ている。

 万博協会によると、2005年の愛知万博(愛・地球博)では、来場者数にスタッフなどは含めていなかった。今回の集計方法は21~22年のドバイ万博で採用したもので、博覧会国際事務局(BIE、本部・パリ)が今春、万博協会に提案したという。石毛氏は「BIEの決定に従って私たちはやっている。水増しの意図はない」と反論する。

 今回は「並ばない万博」を掲げ、入場する時間帯やゲートを指定する事前予約制を導入している。混雑緩和などのため予約枠をコントロールし、休日は午前中の予約枠が埋まりがちだ。この点について、大阪府の吉村洋文知事は「事実上の入場制限となっている」と問題視する。吉村氏は「今のままだと(1日の来場者数は)15万人ぐらいで頭打ちだ。入場者数の枠を広げるようにさまざまな手を打つことが重要だ」と述べ、夏休みまでには改善するよう万博協会に求めている。

 万博協会も対策を打ち始めている。7日には夜間券の入場可能時間を午後5時から1時間繰り上げる「トワイライトキャンペーン」を開始した。また、6月8日までの土日について、大阪メトロ夢洲(ゆめしま)駅に隣接する「東ゲート」の午前9~11時台の予約枠を増やす方針も明らかにした。担当者は「オペレーションの改善、運用の習熟度の向上で、多くの来場者を迎えられる」と説明している。【岡崎英遠】

毎日新聞

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