米イスラエルの対立報道も ハマスが人質解放、停滞する停戦交渉

2025/05/13 16:56 

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 パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスは12日、米国籍を持つ人質のイスラエル兵の男性1人を解放した。人質の解放は、イスラエルと停戦中だった2月下旬以来。13日からのトランプ米大統領の中東歴訪に合わせて、停滞している停戦交渉の打開につなげる狙いがあるとみられる。

 ロイター通信によると、人質の男性の安全確保のため、イスラエル軍は12日の昼ごろ、戦闘機や無人機の飛行を一時停止。男性の解放後は再開された。

 米ニュースサイト「アクシオス」によると、仲介国を通じた米国のウィットコフ中東担当特使とハマス幹部との協議が人質解放につながったという。イスラエル首相府は、軍事圧力と米国の外交圧力の結果だと誇示した。

 停戦交渉を巡っては、米国とイスラエルの対立も伝えられている。イスラエルメディアによると、ウィットコフ氏は人質の家族との会合で、米国は人質の帰還を進める意思があるにもかかわらず、イスラエルが戦争を終わらせる気がないと批判したという。イスラエルは今回のトランプ氏の中東歴訪の際、イスラエルも訪問するよう求めたが、訪問先からは外されている。

 人質の解放に先立ち、トランプ氏とイスラエルのネタニヤフ首相は12日、電話協議を実施。ガザの停戦交渉の進め方について話し合ったという。イスラエルは13日、協議再開に向けてカタールに交渉団を派遣する。米国から圧力を受けた可能性がある。

 停戦交渉を巡って、ハマスは、イスラエル軍のガザからの撤退を含む恒久的な停戦を要求。イスラエル側は、一時的な停戦と人質の解放を求めており、交渉の行方は不透明だ。【エルサレム松岡大地】

毎日新聞

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