中国「米国の裏庭」取り込み 習主席が中南米諸国に「いじめは孤立招く」
中国の習近平国家主席は13日、北京市で開かれた中国と中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)の閣僚級会議で演説した。トランプ米政権を念頭に「関税合戦に勝者はなく、いじめや覇権主義は孤立を招くだけだ」と強調し、新興・途上国の団結を呼びかけた。
米国から大幅な関税削減を引き出した「成果」を追い風に、習指導部は国際社会での影響力を高めようとしているようだ。「米国の裏庭」と呼ばれる中南米諸国を取り込み、米国との持久戦に対応する狙いがあるとみられる。
習氏は演説で「一国主義と保護主義の逆流に直面する中、ラテンアメリカ(中南米)と手を携えて共に運命共同体を構築したい」と主張。貿易の促進に加え、デジタル経済や人工知能(AI)、治安対策など幅広い分野で協力を深め、気候変動のような地球規模の課題で共同歩調を取ることを表明した。
習氏は660億元(約1兆3200億円)の人民元貸出枠による資金供与を発表し、巨大経済圏構想「一帯一路」によるインフラ整備への支援を約束した。
一帯一路を巡っては、米国の圧力にさらされたパナマが離脱を発表したが、今回の会議に花を添える形でコロンビアが新たに参加を表明し、中国が巻き返しを図っている。
CELACは中南米、カリブ海の全33カ国が加盟。2015年の第1回開催から10年となる今回の閣僚級会議には、ブラジルのルラ大統領やコロンビアのペトロ大統領など一部首脳も出席。トランプ米政権の存在が両者の距離を縮める「磁力」となっている現状が浮かび上がった。
中国と中南米諸国の24年の貿易総額は5184億ドル(約76兆円)で、過去10年間でほぼ倍増した。対米依存の脱却を急ぐ中国は、ブラジルの大豆など農産物の輸入を増やしているほか、電気自動車(EV)など自国製品の販路拡大も目指している。
一方、ブラジルやペルーにとって中国は今や米国を上回る最大の貿易相手国。インフラ整備への期待も高く、昨年には太平洋に面するペルーのチャンカイ港が中国主導で整備された。
さらなる大型プロジェクトの計画も持ち上がっている。香港紙によると、ブラジル政府は自国とチャンカイ港を結ぶ鉄道建設について中国側と協議している。巨額の資金負担に中国が応じるかなど不確定要素はあるが、実現すれば南米大陸を横断し、太平洋と大西洋を結ぶ新たな物流ルートとなる。中国としては、米国の影響力が強いパナマ運河の代替ルートを確保する戦略的意義もありそうだ。【北京・河津啓介】
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