高層ビル80階の高さを… 高所恐怖症の克服、VR体験に新たな鍵
高層ビルの80階から屋外に突き出た板の上を歩く。高所恐怖症の人たちがこんな実験に参加した。舞台は仮想現実(VR)だ。高いところにいる恐怖、それをどう乗り越えるか。実験を行った情報通信研究機構(NICT)は、恐怖を克服する新たな鍵を見つけた。
◇高所恐怖症傾向の100人が実験参加
従来の高所恐怖症の治療は、徐々に恐怖を感じる環境を経験して慣れる「暴露療法」が一般的だ。何度も経験することで「その環境は怖くない」という新しい知識を学習するというのが定説とされる。しかし、今回の実験では、「暴露」をしなくても恐怖を減らせる手がかりを見つけた。
実験は2023~24年にかけて2回行われた。高所恐怖症の傾向がある約100人がそれぞれ参加。ゴーグルを装着し、市販のVRゲームで地上300メートルにある板の上を歩く体験をした。
まず、手の汗の量と、質問票に対する参加者の回答から恐怖の程度を測定。その後、参加者は2班に分かれ、1班はVRのコントローラーを操作し、約7分間、自由に低空(地上5メートル以下)を飛行した。2班は、自分では操作せず、1班が飛行したVR映像を見るだけだった。
◇「暴露」をしなくても恐怖心低減
そして再び板の上を歩くと、1班の方が2班に比べて恐怖の程度が下がっていた。両班の違いは、低空を自分の意思で飛行したか否かだ。つまり、「暴露」をしなくても、低空を自分で飛行する体験が、恐怖の減少に役立つことが分かった。実際、「自分は飛行できるので落下しても危険ではない」と強く感じている人ほど、恐怖の減少が顕著だった。
NICTの春野雅彦・脳情報工学研究室長(計算論的神経科学)は「自分の行動で安全な状態に移行できるという予測が、恐怖を減らす新たな仕組みとなる可能性が示された」と説明する。高所恐怖症の人がVRの体験を通じて、こうした感覚を身につけられれば、克服できる可能性があるという。
今後は効果が持続するか、現実空間でも有効かなどを調べ、高所恐怖症だけではない、他の恐怖症の治療にも役立てたい考えだ。研究成果は5月13日付の米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された。【木許はるみ】
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